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レコード名盤紹介1 NOW - The Christmas Album

This compilation 1985 EMI Records  Ltd/Vigin Records Ltd

 名盤紹介の一番目がコンピレーションアルバムというのは、ちょっと気が引けますが、この時期に紹介しないと、1年後になってしまいそうなのでやっちゃいます。
 1985年にEMIレコード社から発売された、オムニバスのクリスマスアルバムで、主に英国のロック・ポップススターが勢揃いしています。YouTubeで検索すると、なんと全曲アップされていたので、雰囲気を味わってもらいたいので、リンクを貼っておきます。

Side 1
1)Band Aid・Do They Know It‘s Christmas?
 1984年12月リリースされ、その年のUKシングルチャートを5週連続1位になりました。その年に起きたエチオピア飢饉に対してのチャリティーの曲で、ボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロが曲を作り、20組近い超売れっ子バンドが参加しました。私の好きなヘブン17やスパンダー・バレエ、ポール・ウェラーの名前も見られます。
 この曲とクイーンの曲を手に入れたくてこのアルバムを買ったといっても過言でないくらい好きな曲で、キラキラきれいなクリスマスぽい曲調で、平和な世の中で良かったなと思われせますが、「それが君でなく彼らだったことに感謝しよう」という歌詞があり、内容は意外と辛辣です。この部分はU2のボノが歌っています。

2)Roy Wood with Wizzard・I Wish It Could Be Christmas  Everyday
 1973年リリース、UKシングルチャート4位。彼は元ELOのオリジナルメンバーで、多才なアーティストです。ELO風な曲調でのクリスマスソング、好感が持てます。

3)Slade・Merry Xmas Everybody
 1973年リリース、UKシングルチャート1位。いわゆるグラムロックのクリスマスソング。今でも英国ではクリスマスシーズンにチャートインするほど、人気があります。

4)Wham!・Last Christmas
 1984年リリース、この年はUKシングルチャート2位、バンドエイドがいたからしょうがない。次の年に1位を取りました。日本では累計120万枚売れたそうです。
 ジョージ・マイケルの自作自演(打ち込みですが)の曲です。
 このバージョンは『プディング・ミックス』で、他にも違うバージョンがあるそうです。明るい曲調ですが、前の年のクリスマスを思い出す失恋ソングなのは知ってました?

5)Elton John・Step Into Christmas
 1973年リリース、UKシングルチャート24位。あまり売れなかったのはなぜ?
エルトン節全開で、思わずトナカイと踊りたくなるクリスマスソングですね。

6)Mike Oldfield・In Dulce Jubilo
 1975年アルバム『Hergest  Ridge』に収録。UKアルバムチャート4位。
 14世紀ドイツのトラディショナルなクリスマスキャロルを、彼なりの解釈でケルト風の味付けで展開しています。今も人気のある曲です。

7)Gary Glitter・Another Rock‘n’Roll Christmas
 1984年リリース、UKシングルチャート7位、バンドエイドやワム!と同じ年発売なので、無理もないか。しかしクイーンより上!
 彼のオリジナル曲です。軽快なロックンロールで、やはりこれもクリスマスのグラムロック的解釈なんでしょうか?

8)Paul McCartney・Wonderful Christmastime
 1979年リリース、UKシングルチャート6位。
 この頃ポールがハマっていた、シンセポップのクリスマスソングで、当然オリジナル曲です。この曲には酷評が多いようですが、そんなことは百も承知さと言わんばかりのポールの明るさが、クリスマスタイムに華を添えます。

9)Shakin‘ Stevens・Blue Christmas
 1982年リリース、UKシングルチャート1位。
 原曲は言わずと知れたエルビス・プレスリーですが、英国では未だにクリスマスシーズンに売れているのは、彼のバージョン。国民的ロックンロールスターなんですね。

Side 2
1)John&Yoko/The Plastic Ono Band・Happy Xmas(War Is Over)
 米国1971年リリース、英国1972年、UKシングルチャートは1980年に2位(ジョンが射殺された年)
 超有名曲なので説明するまでもないですが、バージョンによっては、冒頭で「Happy Christmas,julian.Happy Christmas,Kyoko」と彼らの囁きが入っています。これは2人の前の連れ合いとの最初の子供達のことで、祝福とともに後悔なんかが感じ取れて、なんだか切ないですね。

2)Greg Lake・I Believe In Father Christmas
 1975年リリース、UKシングルチャート2位。
 この頃のELPの人気の高さが窺い知れます。静かな導入から、フィナーレはオーケストラで荘厳に盛り上げるといった、彼の音楽センスがクリスマスを盛り上げます。

3)Chris De Burgh・A Spaceman Came Travelling
 1975年リリースのアルバム『Spanish Train and Other Stories』収録。80年代に彼の曲がスマッシュヒットしたおかげで、この曲が再評価され、今では彼の代表曲となりました。
 スペースマンとは大天使ガブリエルのことで、マリア様にお告げに空からやって来たことを歌にしました。

4)Jona Lewie・Stop The Cavalry
 1980年リリース、UKシングルチャート1位。
 彼のオリジナルの曲です。軍隊楽団風のなんともファニーなクリスマスソングですが、こういうのも英国好みなのでしょうか?

5)The Beach Boys・Little Saint Nick
 1964年リリースのアルバム『The Beach Boys Christmas Album』の収録曲で、彼らのオリジナル曲です。夢のカルフォルニアでのクリスマスは、彼らのコーラスの様に明るく軽快なんでしょうね。

6)Queen・Thank God It‘s Christmas
 1984年リリース、UKシングルチャート21位。コンポーザーはロジャー・レイラーとブライアン・メイ。この頃はちょっと落ち目だったし、バンドエイドやワム!のクリスマスソングが流行っていたので、売れなかったのも無理もない。  
 クイーンお得意のコーラスが炸裂していて、何度聞いても痺れます。鳴り響くシンセサイザーの裏で抑えめのギターもグッド。
 次の年にバンドエイドのボブ・ゲルドフがライブエイドを開催して、期せずしてクイーンの復権を手助けするわけですけど、クイーンにとってはボブ様々ですね。ボブはクイーンを嫌っていたらしいから、皮肉なものです。

7)Mud・Lonely This Christmas
 1974年リリース、UKシングルチャート1位、75万枚売れたそうです。ロカビリーぽいですが、彼らのオリジナル曲で、彼らはグラムロックのアーティストです。

8)Johnny Mathis・When A Child Is Born(Soleado)
 1976年リリース、UKシングルチャート1位。英国では有名なシンガーらしいです。
 曲はポピュラーなクリスマスソングで、朗々とクリスマスを歌い上げます。

9)Bing Crosby・White Christmas
 1942年リリース、ビルボード11週1位。今まででトータル5000万枚売れた、超有名なクリスマスソング。

 こうして見ると、この頃の英国はまだまだグラムロックの影響が強かったようです。日本ではグラムロックと言えばTレックスや一時期のデイビッド・ボウイくらいだったから、熱気があまり伝わっていなかったかな。
 このアルバムでは、ポールとジョンの予期せぬ共存や、ボブ・ゲルドフとクイーンの関係なんかが感じられて、私にはただの寄せ集めのクリスマスアルバムだとは思えないです。

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