ゴマアザラシから始まる異世界的ゲーム探訪、プロローグ
ある早朝、俺はアザラシを見つけた。
比喩ではない、本当に落ちていたのだ。
前の晩、ここ足立の西伊興には珍しく雪が降り、嬉しくなった俺は朝から雪を観察しようと散歩にでかけた。
冬の朝というのは不気味な程に静かだ。俺は人のいない舎人公園の大池を眺め、そのほとりを悠々と歩きながら、芝に薄く積もった氷雪に足跡を残して遊んでいた。
雪に満足して帰りかけたとき、俺はふと雪野原に丸い物を見た。
「なんだ、あれ」
それは雪に紛れる程に白く、僅かに黒の斑点を持っていた。遠目