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本当はさみしい

本日7月31日をもって、娘が会社を辞める。
5年と半年がんばった。

そして9月から関東で就職する。

今も家から離れ一人暮らしをしているが、車でも電車でも40分ほどの場所だ。
しかし来月、新幹線を使っても3時間かかる場所に転居する。

私にとっては全く馴染みのない街である。

先日、部屋を探しに娘と向かったその街は、私が30年前に初めてここ(今の居住地)へきた時とよく似ていた。

大きな駅ではないが、店や病院が近くにあり
住みやすそうだという印象。
大きな公園の横は夜になると暗くなるようで、用心深い娘は『より明るい道路』を不動産屋の人に教えてもらっていた。
ちょっと羨ましいのは、ランチできそうな店がとてもたくさんあるということだ。

猛暑の中、娘と、近くに住んでいるという娘のお友達と一緒に物件をめぐり、無事によさそうなところが見つかった。

契約書をかわして遅い昼食をとり、
お友達にお礼と「これからもよろしく」とお願いして帰路に着く。

そして私は初めて娘に言った。
「お母さんさ、本当はさみしいんだ」

これまで言わなかった。
娘が選ぶことを応援したいから。
娘が子ども時代に、私の理想を押し付けて
あれこれ口を出してきた反省があるから。

でももう、リセットできない。
仕事が決まり、住むところが決まった。
楽しそうにこれからの話をする娘を見ながら、行ってしまうのだと実感した。

今言わないと、これから私はきっと言えない。だから一回だけ言わせてもらう。
「本当に、本当にさみしいよ」
そしたら娘が言った。
「当たり前じゃん、私だってさみしいもん」

ああ、そうなんだ、わかってるんだ。

30年近くも私たちのそばにいて、
よく笑い、よく飲み(酒)、場を明るく楽しくしてくれたね。
ありがとね。

本当にさみしくて、あと3回は泣いちゃうかもだけど、あ、その前に、荷物がバカみたいに多い部屋の引越しは恐怖だけど(笑)、
娘を信じて、私は私で生き生きと暮らそうと思う。

明日から8月。

暑い暑いといいながら日々が過ぎていくのだろう。
きっと、私にとって心に残る夏になる。

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