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顧客とは福音(エウアンゲリオン)を届ける相手のことなんです

日本の経営者が好きな経営学の第一人者といえば、なんといってもドラッカー博士でしょう。
私の友人にも、ドラッカー塾みたいのに参加している人もいますし、社員教育は外部講師を呼んでドラッカーの経営論を学ぶなんて人もいます。

さて、私は例によってドラッカーには大した興味もなく、それが故が大したことのない経営者として卒業してしまったわけですが、それでも結構面白いなと思っていたのが、ドラッカー博士の会社の定義。

会社の定義なんていうと、我々俗物は「儲けるための組織(営利を目的とした組織)」などと答えたくなりますが、それは×。
実は彼は「顧客を創造し続ける組織」だっていうんですね。
そして
同時にドラッカー博士は「あなたの顧客は誰か?」と常に自らに問いかけよと言います。

どうやらここがドラッカー経営学の肝のようですよ。


そう、ドラッカー経営学が今一つ日本人にとって理解しがたい一方、実に興味深いのがこの顧客の概念なんですね。

ドラッカーは会社経営とキリスト教会には共通点があるといいます。
ここから先は私が自己流で解釈すると、その共通点とは、会社も教会もその存在をミッション(伝道)、ビジョン(啓示)、バリュー(信仰)の3語で表せるということなんだろうと思うのです。

では何を伝道し、見せ、信仰するかというと、それこそが福音、つまりエウアンゲリオン(エヴァンゲリオンじゃありません。念のため)です。
あえて訳せば、『いいニュース』みたいな意味でしょうか。
キリスト教的に言えば、人間(あなた)はイエスキリストの犠牲によって救済されることが決まりました、素晴らしいニュースでしょ、みたいな感じですかね。
会社でいえば、私たちの新しい(新訳)良いサービス(福音)によってあなたの生活が助かりますよ、素晴らしいでしょう、というような感じです。

さて、そこで問題です。
この素晴らしいニュース、福音を届ける相手は誰でしょうか?

そうです、その相手こそが「顧客」なのです。


よく間違えるのが、今お金を払っている人を顧客と捉えること。
私も経験がありますが、組織ができると、次第に組織の利益を重視し始め、本当の「顧客」ではなく、目先の「お金を払ってくれる人」を重視し始めます。
そしていずれ顧客ではなく、身内の利益を重視した「業界の常識」を作り上げていっちゃうんですね。

私の経験でも、なんか会社や組織がおかしくなったな、と思った時は、大体本当の顧客ではない方向に目が向いていることが多いのです。
これを一発で看破するとは、さすがドラッカー大先生だといえるでしょう。

そんなわけで、どうもビジネスの調子が悪いと思うときは、自分たちの福音を届ける相手、つまり顧客を間違えていないか、定期的に見直してみるといいかもしれませんね。