目の前の人が自分と同じ服を着ていたら

ある日、電車に乗った時のこと。ふと前を見ると、見たことがある服を着た人が目についた。

あれ、私が持っている服と同じじゃん！　てか、今、私それ着てるし！

家でカタログを見ていて、モデルが着ていて良さそうだったので買ったもの。それを選んだ人がこんなに身近にいるんだね。

さて、その後どうするか？　相手の人は気づいていなさそう。でも、周囲の人が気づいたらどう反応するのだろうか？　相手の人がとっても素敵に着こなしている人だったらうれしいけれど…？　

その時私がとっさにした行動は、周囲の人に気づかれないようにその人からとりあえず離れる、ということだった。気まずいよ、気まずい。だって、「同じ服ですね。気が合いますね。」って声をかけるわけにもいかないし、相手の人もこんな私なんかと服がかぶって嫌かもしれない。周囲の人に、あの２人、なんで同じ服着てるの？って思われても…。ここは何もなかったかのようにするのが無難かという判断。

そういえば、ずいぶん昔、銀行のATMで順番を待っていた時、ふと前の人の足元を見たら、全く同じ飾りのついた靴を履いていてびっくりしたことがある。なんという偶然！　ただ、靴の場合は他の人には気づかれにくいし、行列から抜け出すわけにもいかなかったので、何もしなかった。その場所から遠くない店で買った靴。あの人もきっとそこで買ったのね、と思いながら。

他の人がかぶっているのを見たこともある。とある会合で、メンバーのうちの２人が同じスカートをはいていた。別の人が気づいて声をかけた。「あれ、スカート同じじゃない？」聞けば、ファッション雑誌で紹介されていたのを見て気に入って買ったものだそうだ。当然、買ったお店も同じだったそう。私は、へえ～そういう偶然もあるのね～とただ話に聞き入っていた。だが、２人ともおしゃれさんなので、もしかしたら、心の内はライバル心でバチバチだったかもしれない…。

大量生産のファストファッションの時代、服が他の人とかぶるということは可能性としては低くない。同じだとうれしい？　うれしくない？　おしゃれさんとかぶった場合はうれしいかもしれないけど、そうでなかった場合は？　色違いってこともある。最新モデルと旧モデルでかぶったり。制服はみんな同じというのが前提だけれど、私服はみんな違うというのが前提じゃない？　服に対する考えが変わりそう。みなさんはこういう時どう反応しているのか、機会があったら聞いてみたい。