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入学時に考える教育費のこと

 公立高校合格発表から入学式まで2、3週間。聞いてはいたけれど、これだけ多くの諭吉さんが財布から出ていくとは。改めて教育費について考えてみる。

 子どものために、または保護者の務めとして、学校から求められたら必要な費用は払うのが当たり前と思っている人がほとんどではないだろうか。小学校、中学校と上がっていくにつれ感覚がマヒしてきて、高校ではつい惰性で払ってしまった。でも、それは本当に必要なお金なのか?税金で賄えないのか?という疑問もわいてきた。

 「隠れ教育費」という本に公立小中学校でかかるお金を徹底検証している。高校については書かれていないが、それほど大きく変わることはない。授業料・教科書代が無償ではなくなることと、交通費がかかることぐらいか。それよりも、短期間のうちに入学準備をしなければならないというプレッシャーがすごかった。たしかに入学後は保護者の出番はほぼなくなるのだが、これで本当にいいのだろうかという疑問が沸々とわきあがってくる。子育てを終えた人が「こんなお金とられたな」と回想して終わるのではなく、これから子育てする人が「こんなにお金がかかるのか」と不安にならなくても済むように、コロナ禍におけるいろいろな見直しからパラダイムシフトが起きるきっかけが生まれるとよいと思う。

 まずは学校の指定品(制服・体操着・ジャージ・通学カバン・シューズ等)の購入。学校の説明会に参加した後でないと何をどれだけ購入すればよいか決められないものも多い。別途買いにいく手間を省きたいため、ほとんどの人がその場で購入。しかも業者は近隣の小規模店であることが多いため、電子決済ではなくキャッシュ。成長著しい時期にサイズが合わなくなる可能性がある指定品の出費は厳しい。

 制服は冬服・夏服同時注文し、冬服の受取ができるのは入学式前日。複数の業者が入ってはいるが、取扱メーカーが違うので価格の直接比較ができない。中学校の制服と比べても3年で価格が上がっているような気がした。生地はより快適により洗濯しやすいようになっているようだが、毎年そこまで改良する必要があるのか。しかし、進学時は新調してあげたい親の気持ちもある。

 体育がらみのウェアは学年色の指定があるものもあるので、身近に同じ学校の先輩がいたとしても、年齢によっては譲り受けることができない。また、名前を刺繡するという指定があると譲り受けるのはほぼ不可能となる。同じ苗字の生徒がいる場合を想定した、「苗字+下の名前一文字」という指定の場合はきょうだいでさえ使いまわしできない。

 シューズ類は学校の敷地内で複数の種類を使い分ける必要がある。制服に合わせて革靴にした場合は、運動靴が別途必要。室内でも上履き(というよりスリッパだったりする)と体育館シューズを使い分ける。私立の学校だと上履きに履き替え不要というところもある。掃除の問題が関連しているのかもしれないが、そもそも春休み中は掃除する生徒がいないので、入学式の日に校内に入ったら、階段の隅にほこりや髪の毛等が多数落ちていた。これからこの学校にお世話になるという新鮮な気持ちの日にこれは幻滅。掃除つながりでいえば、掃除の際に制服はふさわしくないのではないか。かといって、掃除の時間にわざわざ体育着などに着替えるのもめんどう。

 そして、高校の入学前最初の苦行といえば、学校指定の教科書・副教材を1年分まとめて購入・持ち帰ること。私が高校生の頃から変わらぬ方式だが、紙質がよくなってページ数も増えているので、重量は倍ぐらいになっているのではないか。キャリーバッグや車でお迎えがなければ一苦労。教科書の価格は不明なので、定価なのかまとめ買い割引があるのかさえわからない。さらに、辞書類は指定ではないのだが、高校生向けと言われる学校専用モデルの電子辞書が3万円強。

 これだけでも何も考えずに払っていくと入学までに約20万円飛んでいく。さらに、諸経費として、入学料、PTA会費、生徒会費、部活動費、修学旅行等積立金、冷暖房費などがかかる。いくら授業料が就学支援金によって事実上無料になる(可能性がある)とはいっても、それ以外の経費の方がこんなにかかるとは!今の時代、冷暖房費は施設が払うのが普通ではないのか?PTA会費、生徒会費、部活動費、修学旅行費も、参加できるかどうかもわからないのに当然のように徴収されるが、はたして3年間でしっかり元がとれる活動ができるのか?

 そして、出費はこれで終わるわけではない。雑巾など昔は各家庭に当たり前にあったかもしれないが今は買わなければないものを持ってくるよう指示されたり、部活に入ればウェアや道具など、所属する会や遠征時の費用、イベントのための現物を含めた費用など…1つ1つは高額でないもののまとめてみると年間結構な額になるものがまだある。家庭の負担といえば、運動部に所属した場合の大量の洗濯物、毎日の(学校の環境を考慮した)弁当作り、卒業後使い道がなくなるものの処分に対する悩みなどもある。

 結局、誰のための費用なのだろう?本当に子どもの教育のためなのだろうか?管理する学校のためなのではないか?それを期待する地域・各種団体のためなのではないか?学校に投入される税金が少ないからなのではないか?学校から配布されるプリントは大量なのだが、これを減らせば経費は少なくなるのか?生徒側も制服や部活の種類、イベントの内容などが学校選びの一つになっているが、それは正しい判断なのか?複雑すぎてどこから手をつけていいのかわからなくなっている。


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