見出し画像

日吉さんのMリーグ実況って

お久しぶりです、シュウです。
最近XでトレンドになっているMリーグ公式実況「日吉 辰哉」さんについて自分なりの見解を書いてみようかなと。

放送対局における実況って

麻雀の放送対局が本格的に始まったのはフジテレビ制作の「われめdeポン」という番組がきっかけ。
出場していたのは麻雀好きの芸能人でした。
最初は30分番組で4回にわたって1対戦を放送する、というもの。
さすがに音声何もなしは厳しいので実況にフジテレビアナウンサーの野島卓さんという方がつきます。
そして解説は井出洋介プロ。
その野島アナ、麻雀好きでありスポーツ実況もこなしていたのでまるでスポーツ観戦をしているような実況でした。

野島卓アナウンサー

のちにこの番組は深夜に生放送という形になるのですがさすがの仕切りと実況。
これを最初に見てしまうとこの後比較される日吉さんとは完全に違う世界なのでそもそも実況って?って話になってしまいます。

MONDO21でプロの対局が放送されると・・・

本格的にプロ雀士の対局が放送されたのはCSのMONDO21(現在MONDO TV)から。
ここで実況をしていたのが土屋和彦さんという方。
この方はスポーツ実況をされていた(どちらかというとマイナースポーツ)のですが麻雀に関しては知識があまりないようでナビゲーターとして出演していた梶本琢程さん(現Mリーグ審判)とプレイヤー解説として大会に出場していたプロと一緒に寄り添っていく、という形でした。
ある意味実況としてはまったく機能していない、どちらかというと司会進行という感じ。
これと日吉さんを比較すると豊富な麻雀の知識がある麻雀プロがやっているわけですからこっちのほうが見やすい、となってしまいます。

時代はAMEBAに

MONDOでは現在も放送は続いていますがどうしても出る選手がほぼ固定されてしまうのと常に麻雀を見られるチャンネルではないのとCSよりもインターネットで見るほうがいい、という時代になりAMEBAのRTDリーグというものが始まります。
ここで実況をしていたのが現在もMリーグ公式実況をしている小林未沙さん。
声優という声のプロでありながら最高位戦プロ麻雀協会に所属していた麻雀プロ、ということもあり実況での状況判断がとにかく的確。
それでいて解説に来ているプロの方をしっかり立てることをするなど見ているほうに安心感しかありません。
そしてMリーグが始まる1年前のRTDリーグで実況をしたのがこちらも現在でもMリーグ公式実況をしている松嶋桃さん。
RTDリーグ実況1年目ではやはり場慣れが少なかったのか思うようにしゃべることが出来てない感覚がありましたがMリーグ公式実況になってからはスタイルを確立出来たのか安心して聞ける実況になりました。
で、Mリーグ1年目が始まるのですが実況が2人というのは実は微妙なお話。
声の仕事だけに体調を崩したらもう片方に大きく負担がかかってしまう。
そこで白羽の矢がたったのが日本プロ麻雀連盟の自団体リーグ鳳凰戦のA2リーグで実況、さらに近代麻雀主催の麻雀最強戦で実況をしていた日吉辰哉さんとなります。

日吉さんのスタイルは・・・

Mリーグが始まる前に「麻雀に流れなんてない」、「オカルトなんてない」という風潮が広まるのですがスポーツ中継では「勝負の流れ」ってことを解説の方がいうことがあります。
スポーツでの「勝負の流れ」はメンタル的なもの、というのがあるから成り立つと言われていました。
しかし麻雀界では不完全確率ゲームでありながら「流れなんてない」という論調が強まる傾向にあり、ただゲームの中で起こった事象を正確に伝えるだけのほうがいい、となっていたのですが日吉さんは逆にそこへ切り込むために「流れ」ではなく「風」としてとにかく熱く語っていく平成初期にF1の実況をやっていた古舘伊知郎さんのようなちょっと大げさかもしれないくらいの出来事を誇張をして伝えていく、っていうスタイルでMリーグに乗り込みます。
そういう意味ではある意味土台となる環境がない状態でMリーグの実況を始めたので最初の頃は「AMEBAプレミアム」ですら嚙みまくり。
なので視聴者側は「今日も日吉さん噛むかな?」ってのを期待して見てるのもあったりするほど。
本当にMリーグに新しい「風」を送り込んでくれました。
ある意味、小林未沙さんと松嶋桃さんと対照的な実況です。

ここで生まれる一つの疑問

ここまで経緯として放送対局に実況を付けるのが当たり前、ってなっていますが「麻雀プロが麻雀の実況をやる」ということについてこれが当たり前なのか?ということです。
その昔「萩原リーグ」という萩原聖人さんが施設リーグを立ち上げて放送対局をしたのですが、ここで実況をしたのは外部のアナウンサー。
麻雀についての知識はそこまで詳しくなかったのか完全に解説任せの実況に。
ってことはある程度麻雀に対して造詣が深くないと実況が務まらないことがわかります。
じゃあ麻雀プロがやるしかないのか、って話になるのですがプロとしてなら競技者として活躍したいのが本音でしょう。
となればどちらかというと実況の仕事って好んでやる人が少ない、というのが実態。
実際実況をやる上での下準備も大変です。
それもあって敬遠されがちの実況のお仕事、日本プロ麻雀連盟の鳳凰戦A1リーグで最初に実況をしたのは実はEX風林火山所属で鳳凰位を取ったこともある勝又健志プロ。
しかしながら鳳凰位を取ってしまう実力の人がなぜ実況をやってるのか?ってなり古橋崇志プロが後任になります。
しかし、その古橋プロも今年はA1リーガー。
となればやはり後任が必要でそれをMリーグでいっぱい仕事している日吉さんにすべて投げるのか、となれば無理なお話。
ここに関してはかなり模索しているようですが、やはり麻雀プロたるもの競技者でいたい、というものが邪魔をします。
そういう意味では日吉さんは「麻雀実況に全振りした」というところはかなり評価されるべき、と考えられます。
Mリーグで年々実況を重ねるたびに噛むことも少なくなっています。
そして後任を考えなければならないのがありますから実況出来る人はたくさんいたほうがいい、というのが事実。
つい最近小林未沙さんが体調を崩し古橋崇志プロが実況を代役しましたがやはり実況慣れしている人がやったこともあって違和感全くなし。
おそらくMトーナメントで複数回実況をした、ってのが違和感をなくしたと思われますがMリーグ一発目の実況であれだけ聞きやすい実況をしたのはとても評価されるべきことではないかと。
となると普段週2回ほどMリーグの実況をしている日吉さんは確かに苦手と思われる人もいるかもしれないが選手へのリサーチなど実況に対する下準備を一杯した上で本番で熱量たっぷりの実況をしている、というのはもっともっと評価されるべきで、ある意味一つの形を見せてくれたではないか、と思っています。

実況問題は実は麻雀に限った話では無い

この手の実況が不足している、という問題は麻雀界に限った話ではありません。
特に深刻なのは「eスポーツ業界」。
ストリートファイターシリーズで「SFL」という大会があるのですが実況出来る人が少ないのが現在起こっている事実。
ここに適している人がいたのですが若くして突然の急死という事態が起こってしまい、無理やり後任を探してそこにつけたという事例がありました。
それゆえにやはり聞きなれない声で実況を聞くとやはり違和感。
慣れてしまえばこういうタイプの実況か、ってわかるのでそこまでにやっぱり時間がかかってしまう、というもの。
これも同じようにプレイヤーから実況になる、ってのがなかなか難しく実況だけで仕事が出来る、って人は本当にごく一部。
となれば実況だけに全振りして仕事にしよう、ってなる人はなかなか生まれず後任がどうなるのか、という問題になってしまっています。

麻雀実況が出来るというスキルは

特に最高位戦プロ麻雀協会で起きている現象ですが自団体リーグの実況をしている人がプレイヤーとして好成績を残している、という現象が起きています。
その事象が今赤坂ドリブンズに所属している浅見真紀プロとつい最近の最強戦で優勝した小宮悠プロ。
ある意味実況が出来るスキルを身に着けると当然自身の麻雀レベルもアップするということが成り立ち、それが原因で実況を引き受けよう、とする人が増えた、といういい事象も出てきています。
この事象がMリーグで起きることはちょっと考えられませんが、Mリーグで実況が出来る人が増える、ということが一つの仕事、年間通して安定する仕事として成立するならばMリーグ実況が増えてほしい、というのが自分の所感です。
これは解説に関しても同じこと、Mリーガーが安定職業ならば問題ないのですがセカンドキャリアとして解説がある、そして現場でやった実績があるならその解説は面白いものなのは間違いないですし。
それをアンチだから完全否定する、ってのはちょっと間違っているような。

どちらにしても今現在プレイヤー側はいっぱいいるけど実況側は不足しているという問題、これを改善する案を提出せずに「この人の実況は嫌い」と言うのならば完全に距離を置くしかないのでは?って思ってしまいます。
苦情を言うなら改善案は無いのか?って感じです。

そういう経緯もあって自分は日吉さんの実況は大好きですし、解説の人が合わせるの大変かもしれないけどそのミスマッチ感も面白い、って感じです。
個人的に好きなコンビは「日吉・渋川」ペア。
今は渋川さんがMリーガーになったので見られなくなってしまいましたが、また見てみたいと思ってしまうコンビですね。
そして日吉さんの印象に残っている実況は「ふざけんな!俺の32000返せ!」ですね。
こういうパワーワードを発信できるのが日吉さんの素晴らしいところだと思いますし。
これからも日吉さんの実況、楽しみにしています!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?