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ゴジラ-1.0 ネタバレあり感想

 ゴジラ凄かったのでがっつりネタバレありの感想書きます。特におっこれは!ってなった場面があったので語りたい。感想のみのつもりでしたが半ば解説になってしまいました…ですが深い考察はここではしないです。ここならわざわざ踏んだ人しか見ないから大丈夫でしょ。※まだ見てない方はこれ読んじゃダメです。ブラウザバック強く推奨。







 特に雪風の堀田艦長という人物についての解説がこのノートの主旨となります。あと登場兵器は全て名前を紹介しています。でてきたあれは何?って方もよければご覧下さい。
例によってなんか間違えてたらそれは自分の責任なので遠慮なく指摘してください。では行きましょう。

 









 冒頭のシーン。特攻隊で敷島って名前なんか不吉。レイテ沖の特攻隊にいた敷島隊を連想します。てかお前601空かよ⁈元は翔鶴型とかに乗っておられました?と思ったけど実戦未経験か。マリアナ沖海戦以降に補充された人員なのかな。

いい表情してやがる…


 橘さん、いやいや、言ってることはわかるけど零戦の20mmが効くタマじゃないでしょ。一人一人直接狙って喰われる描写がかなり多くてエグ!今までのゴジラではあまりしなかった表現だと思う。
あと個人的には98式射爆照準器の映りめっちゃ綺麗やなと感心しました。現代のダットサイトみたいだ。


画像は別映画



 

 アクション以外のシーンで見せ場だと思ったのが戦後のバラックでの生活シーン。全てを失ったどん底の暮らしの風景が誇張なしに丁寧に描かれていたと思います。途中一瞬出てきた明らかに不自然な着飾った厚化粧の人達が、のり子が言ってた「パンパン」ってやつか。米軍相手の娼婦、うーん生きるためには仕方ない。戦後を支えた人達は強かったんですね。あと最初このお隣さんには八つ当たりな部分もありイラッとしてしまったけど、結構いろいろ助けてくれていい人で良かったです。
 
 子育てしながら機雷掃海のお仕事。めっちゃかっちょええバイクも買って戸建ても建てて順風満帆のサクセスストーリーって感じですね。俺もあんな感じのレトロなバイク欲しい!十三粍機銃も輝いてて良かったっす。


と思ったらドーン!歴代ゴジラや怪獣物に出てくる沖の小船は大抵が冒頭に訳もわからず粉微塵になるのがお家芸ですが、主人公が乗ると謎の補正がかかるようです。必死に顔を出しながら犬かきしてる姿が昔飼ってた犬を思い出してちょっと可愛かった。
とはいえゆっくり追っかけてくるこのシーンは本当に恐怖を感じました。歴代ゴジラの中で一番怖かった。

シンガポール迷彩かっこいい!

高雄きちゃあああ!
勝ったな。我らが高雄がゴジラ如きにやられるはずがないのだよ。唸る20サンチ砲のゼロ距離射撃。これでははるばる遠足に来たゴジラ君もひとたまりもありません。日本の勝利である。ゴジラ-1.0、完。






おええええほげほげぎえぴああああああ!!(知ってた)
ちょっとやめてよ!生き残った船ぶっ壊すの!
熱線の最大火力で派手に吹き飛ばしてくれたのでいい散り際だったのではないでしょうか。高雄はこの時点(1947年)の作中日本に残っているまごうことなき最強戦力なので、それが一瞬でやられたというのがゴジラの圧倒的な強さと絶望感を強調する素晴らしいシーンだったと思います。このシーンは泣きそうになりました。かわいそうな高雄😢
 ちなみにこの映画には戦艦は出てきませんでしたが、47年の時点では生き残った戦艦4隻のうち長門はクロスロードで消失、榛名、日向は全解体作業完了、伊勢は上部構造物全撤去という状態なので、稼働できる戦艦はいませんでした。出して欲しかった気持ちはあるけどまあ詰め込みすぎるのもアレだしこれで良かったのかも。





ゴジラが電車を持ちあげる\喰らうのも十八番ですね。踏み潰すのもそうですが絶対欲しいシーンを余さず入れてくるのは流石の手腕。今回ちょっと違ったのはヒロインが電車の中にいるという展開。この状況から入れる保険があるんですか⁈
あとはメインテーマの音楽 デ〜ン デンデンデンデンデ〜ン デンデンデーンがかなりモダナイズされていて雰囲気が出てて好きでした。(何いってんだこいつ)

記者もカメラマンもプロ根性の塊すぎだろ…一歩も引かずに報道し続ける、尊敬に値します。報道の仕方も昔のトーンが再現されていてかなり凝ってるなと感じました。好きなシーン。


銀THE⭐︎崩壊⭐︎



カッコよすぎる!

四式中戦車が隊列組んで砲撃するシーンが一瞬だけ映って凄えええってなりました。量産型、完成していたのか…もちろん役割としては噛ませですが、ミリオタの見たいものを分かってやがるなと。

ゴジラの熱線再び。ただ立ち尽くすことしかできない絶望。電車の件といいこの熱線の爆風と衝撃波の直撃を受けて軽傷で生き残っているのり子は何者なんですかね?ゴキブリ並みの生命力。人類滅びてものり子だけ生き残りそう。実はゴジラに滅ぼされた世界線の未来から日本の歴史を変えるために来た人型アンドロイドとかなんじゃないですか?


海神(わだつみ)作戦、発令。フロンガスのキャビテーション効果を利用した水圧による圧壊作戦って天才の発想では?シンゴジのヤシオリ作戦超えたなこれ。東洋バルーンの人達もかっこいいですね。
シンゴジラが地上作戦を中心にしていたのに対し、-1.0は海上作戦で応えるという対比を意識していたように思えます。何より海軍の残存艦艇を使うならそれしかないよね。


堀田艦長(俳優:田中美央)

このnoteで一番語りたかったのがこの人です。わだつみ作戦の説明中に出てきたこの人、雪風の元艦長、堀田辰雄とのことでしたが、同名の艦長は史実にはおりません。よってこの人は外見から判断し、歴代雪風艦長でも最も有名である 「寺内正道」艦長がモデルと見て間違いないです。彼は豊田譲 著『雪風ハ沈マズ』(光人社NF文庫)で有名になった艦長で数々の逸話があります。恐らく作中で唯一の実在人物モデルのキャラクターでしょう。

似過ぎ!田中さん役作り頑張った。

彼は大酒飲みで豪放磊落な性格、かつ部下へ気配りのできる人物で部下からの信頼が厚かったと言われています。天才的なセンスで対空戦闘や魚雷回避、座礁の危機などの窮地を何度も切り抜け、雪風を幸運艦たらしめた数々の人物の一人です。
雪風艦橋の天蓋に勝手に穴を開けて対空見張りをしやすくしたことで巧みに艦を操ったという逸話があり、雪風にこの人が乗ったらもう鬼に金棒です。
 作中でもブリーフィング後の名演説で絶大な求心力を発揮し、わだつみ作戦での操艦中も咄嗟の機転で正しい判断を下しています。やはり寺内ソウルか…
(なんかここだけ考察になって申し訳ない)



手前から欅、夕風、響、雪風

生き残った艦の中でも有名な雪風、響が共同で作戦にあたるというだけでももうドリームチームでありましてお腹いっぱいなのですが、そのほかにも峯風型駆逐艦夕風、丁型海防艦、松型駆逐艦の欅(けやき)など、数々の残存艦艇がフィーチャーしてくれました。幸せです。

峯風型10番艦夕風
松型18番艦 欅


丁型海防艦(丙型かもしれん…)


んで民間主導の作戦が発令するわけですが、これでも不安だということと、嫁が死んで(死んでない)半ば自暴自棄になっていたこともあり主人公の敷島は「自分が乗れる戦闘機の伝手はないか」と探し始めます。早まらないで!
で、なんとあれが見つかってしまうわけですよね。


局地戦闘機、震電 ついに登場!

雪風、響に並ぶ本作最大の見せ場を作ってくれました。もう艦と言えば大和、飛行機といえば震電と言えるほどには創作物で大人気の機体です。震電が登場する作品では個人的には「とある飛空士への夜想曲」というライトノベルが一番好きなのですが(ラノベにしてはリアリティのある男だらけの過酷な戦争と、軍艦島での暮らしの詳細な描写がある作品でこちらも強くおすすめ。太平洋戦争がモデルの架空世界での戦争を描きます。敵サイドの前日譚にあたる「とある飛空士への追憶」など、犬村小六作品はいくつか映像化されています)、それに負けず劣らずゴジラ-1.0でも異彩を放っていました。

震電が最も輝いている傑作小説


 日本が抱いた400ノットの夢、九州飛行機の、海軍空技厰の、そして生みの親である鶴野技師の夢と威信をかけた機体。わずかな試作機のみが終戦直前に空を舞い、歴史に翻弄された幻の試作機。実際には量産に際してかなり技術的な問題があり、開発が間に合っていたとしても現実的に運用できるものではなかったでしょうが、それでもミリオタの夢であることには変わりがありません。


ここの演技はすごかった

さて、すったもんだあって腕の立つ整備士を迎えたことで(てかパイロットの目元を殴るなよそれは人類の宝だぞ)震電も出撃可能となり、作戦前夜となるわけですが、胴体のほぼ全てに爆弾を内蔵した姿はとても哀れで、どこか桜花を連想させるところがあり、嫌悪感と悍ましさを覚えました。

 そしてわだつみ作戦前日、作戦会議中のあの技術士官の発言「これまでこの国は人の命を軽視しすぎてきた。だからこそこの作戦は一人の犠牲者も出さないで成功させる」という言葉にはとても重いものを感じました。戦時中に人命を軽視しすぎた日本に対して戦後の日本の人々が出した人の命の価値、そして「生きる」ということへの強い渇望とエネルギーが込められたシーンだと思います。
 これはのり子の「死んではいけない」という発言にも表れていますが、監督や製作陣の「生命」への強いメッセージが込められた名シーンだったと思います。


丙型あるいは丁型海防艦


駆潜艇

作戦開始。観測頑張ったのにゴミのように投げ捨てられる駆潜艇ちゃんよ…あと自分はそれまで名前を知らなかったのですが、ツイッターによると「測天型敷設特務艇」という小型艇が出てくるようですね。

測天型(艦艇分類上の呼称ではない)

日本近海の警戒を行った11隻の機雷敷設艇で、ほぼ外洋に出なかったために終戦時にはその多くが残存していたようです。いやーこれで判別できるガチ勢すげえ!自分は海防艦までしかわからんですな…



震電出撃!この機体が空を飛んでいるのを見るだけでもう涙が出てきます。巧みな操縦技術でうまくゴジラを外洋に誘い出すことに成功します。あ、爆弾積んでても小さい方の機銃は撃てるのね…映像も綺麗でした。


重すぎて船尾から沈むのでは…


そしてついにわだつみ作戦が実行されるわけですが、ガスボンベと一緒につけた46サンチ砲弾って効果どうなんですかね?戦艦の徹甲弾ってのは初速と落下速度による運動エネルギーで敵艦の装甲を貫徹するものだと思うので、ただ爆発させても弱いのでは…たしかに九一式徹甲弾には炸薬も内蔵されてはいるけど、46cm砲弾の炸薬重量が34kgなのに対し、25番通常爆弾の炸薬重量が111kgなので個人的には250キロ爆弾や500キロ爆弾か魚雷をつけた方がよほど効果的だったのではと思ってしまいますが…
ですがそんなことは当然製作陣も理解していたとは思います。多分この映画で大和ロスだった視聴者へのファンサービスという形で46cm砲弾が出てきたんじゃないかと。だから文句は言えません。

雪風と響がチューする貴重なシーン

接近しすぎw擦る必要はなかったのでは?
まあ見せ場ができたのでヨシ!
幸運艦同士の夢の作戦でした。雪風も響もカッコよすぎ!視聴後に衝動的にプラモ買っちゃいました。響の方はすでに作ったことがあるので、それと組み合わせてシーンの再現をしてみたいですな。まあジオラマなんて作れないけど。

まだ前のも作ってないのよね…


雪風と響だけでは推力が足りないってなった時に全員集合する展開が熱すぎ!ですがプランB、減圧症による撃破でも決定打にはならず、全てが終わったかに思われます。あの瞬間の静寂たるや!全ての音が消えて観客すらもが物音ひとつ立てず息を呑んでいました。(今回はお客さんの視聴態度が素晴らしく良かった)自分はもうダメかと思ってました。てっきり熱線で全部焼き焦がされるのかと。ですが完璧なタイミングで震電が来てくれてダメ押しで震電の体当たり爆撃がトドメになって撃破!いやー魅せてくれました。んで当然脱出もすると。そりゃそうよ。このご時世に特攻描写なんてやったら世界中から袋叩きにされるわ。予想できた展開ではありましたが胸アツでした。

雪風「響、お互い、また生き残っちまったな。」
響「おうよ。たとえ地獄の底に引きずり込まれようが俺達は最後まで不死身だぜ」



で、倒したあと陸に戻ったら戦術核級の大爆風で死んだはずののり子がなぜかケロッとした姿で病院に。あの時の電報がこの伏線だったとは。「のり子!死んだはずじゃ!」「俺は人間をやめるぞ敷島ぁ!」なんて展開があったのかはわかりませんが、もはや彼女の生命力は人智を超越しております。恐らく次に倒すべき敵は新人類と化したのり子でしょう。彼女がゴジラを超える最強の敵となる続編「ノリコ-2.0」を期待しています。あるいは貞子VS伽耶子VSのり子でもいいです。頼んだぞ山崎!

そして倒したと思ったらゴジラは再生を始める…と。まあゴジラはそう来なくっちゃね。最後の締め方まで完璧でした。咆哮とともに終幕!素晴らしい👍


総評:この映画には文句のつけようがなかったと感じました。邦画に秘められた可能性のその先を探るかのような傑作です。山崎貴さん、あなたできるじゃないですか。過去には駄作と呼ばれたものも出してしまった監督ですが、やはり永遠の0の監督の実力は健在。一度戦争映画を作らせたなら彼は天才なのだと痛感いたしました。今後の彼と日本映画界の活躍に期待しています。では!


自分の拙い感想をここまで読んでくれた方がいましたら、それはとても嬉しいことです。ありがとうございます。

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