57.ちょっと思春期

 中学2年生になり、UちゃんとSさんに
「ねぇ、一緒にテニス部に入らない?」
と、誘われた。

部活って、3年間変えちゃいけないんじゃないの?

「大丈夫よ!
何か理由つけてさ、お願いすれば変えられるよ。」

そうなの⁇
じゃあ、わたしもテニス部に入る!!

元々テニス部に入りたかったから、嬉しいお誘いだった。
体操部の顧問とテニス部の顧問に書類を提出し(両方ともイニシャルはK)、2年生の4月からテニス部に加わった。

母にラケットと白いウェアを買ってもらって、楽しいテニスの日々を送るはずだったのに、考えたら私は球技も苦手だった。
向かってくるボールが目で追えない。
だからラケットに当たらない。

当たるわけがない。
ボールが怖い意識はないのに、目を瞑るから、そりゃ当然。
ボール拾いで褒められ、得意になった。

毎日のストレッチ、素振りが辛かったけど頑張った。
一番辛かったのはレッグレイズ。
寝そべって、両足を揃えて高く上げ、床に足をおろしていく。
で、寸止めしまた上げる。
校庭横のコンクリートの上に寝ているので硬いし、足を下ろすときに頭や体が擦れて痛い。

それを見ているテニス部顧問のK先生は
「頑張れ〜!」
応援しかしない。
でも、夏休みも頑張ったおかげか、かなり体力がついた。

その年、発売になった大塚製薬のポカリスエット。
どこからの情報なのか〜^^;

これを毎日飲むと体の調子が良くなるんだって!!

と、夏休みの部活に行く朝は、ポカリスエットを必ず一本飲んでから学校へ通った。
…運動後に飲むという知識が全くない。
というか、部活中の水分補給はできない時代だったから、飲める時に飲んでおかないと!

あまり関係のある話ではないけれど、夏休みに入る少し前、クラスで話題になった“生理”の話。
女子校だから、その辺りの話は遠慮なく交わされる。
クラスの中でまだ初潮を迎えていないのが、私を含め3人だけ。
その3人の中で誰が一番最初に生理になるか、注目(?)されていた。

期末試験、最後のテスト…
保健体育のテストの直前、冷や汗をかくほどの腹痛に襲われ、テストどころではなくなった。
痛みで息も苦しい。
「保健室に行った方がいいよ。」
友達は言ってくれたけど、先生からは許可が降りず、そのままテストを受けることになった。

腹痛で座っていられない、手は震える、思考能力はゼロ状態で、テストは散々な結果となった。
その後も度々腹痛に襲われ、
「そめ、もうすぐ生理が来るんじゃない?
私も同じだったよ。
そういう時はお休みした方がいいよ。」
と声をかけてくれる子もいた。

忘れもしない7月入って直ぐの日曜日。
朝、トイレへ行くと生理が来ていた。
母に話すととても喜んで、お赤飯を炊いてくれた。
母は若い頃、体が弱かった上に、私を42歳の時に出産した。
その前に3回ほど流産を繰り返していたと聞いているので、よく熱を出す子どもだったけれど、私が五体満足であった事、今回初潮を迎えた事は母に取って奇蹟近いように感じていたのだと思う。
娘の体をいつも心配して、どうやったら体が丈夫になるのか考え、寒風摩擦をやらされた時もあった。

だから今回のことは、二人でとても喜んだ。
ちょうど、父も単身赴任先から帰ってきていて、母と私の様子に
「何かいいことでもあったのか?」
と、不思議そうにしていた。
おそらく、母は私が寝た後で、こっそり父に話したと思われる。
次の日
「よかったね。」
と言われた。
全国のお父さん、それは娘に言ってはいけない言葉です。
正直、答えに戸惑います。

思春期の娘はそぉ〜としておきましょう。

父は数日家にいて、また単身赴任先へ戻った。

…続く……🎾


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