僕の死 満州兵、ピラミッド、幼馴染
暗闇の中で僕たちは手探りで進んでいった。突然、足元から砂が崩れ、僕たちは急な斜面を滑り落ちた。
「大丈夫か?」僕は少年に声をかけた。
「ええ、なんとか」少年は答えた。
僕たちが立ち上がると、周囲の様子が一変していた。洞窟の壁には古代エジプトの象形文字が刻まれ、黄金の装飾が施されていた。
「まさか...ここはピラミッドの中?」僕は驚きを隠せなかった。
その時、壁に刻まれた文字が淡く光り始めた。その中に、幼馴染の美奈の名前が浮かび上がった。
「美奈...彼女もここに来ていたのか?」僕は呟いた。
突然、後ろから銃声が響き渡った。振り返ると、満州国の軍服を着た兵士が数人、銃を構えて立っていた。
「動くな!」兵士の一人が叫んだ。
僕は本能的に少年を庇おうとした瞬間、鋭い痛みが背中を貫いた。
「逃げろ!」僕は少年に叫んだ。
少年は躊躇したが、僕の必死の形相に押され、走り出した。兵士たちは少年を追おうとしたが、僕は最後の力を振り絞って彼らの足を掴んだ。
「行け!美奈のことを...」僕の声は弱々しくなっていった。
少年は涙を流しながら走り去った。僕の意識は薄れていく。最後に見たのは、洞窟の壁に描かれた太陽の象形文字だった。それは希望の光のように輝いていた。
僕の目は閉じられ、意識は闇に沈んでいった。しかし、僕の魂は少年と美奈の再会を願いながら、この不思議な場所に留まることを決意した。
少年は一人で逃げ出し、新たな冒険へと旅立っていった。彼の胸には、僕との思い出と、美奈を見つけ出すという新たな使命が刻まれていた。
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