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ベトナムのソウルフード『Pho(フォー)』

<世界のベストスープ料理20選に選ばれました>
ハノイでは、2022年 5月15日より、長らく続いた外食産業の営業規制解除及び外国人のベトナム入国も全面的に解除され、入国前のPCR検査およびワクチンパスポート提示も必要がなくなり、コロナ前の生活に完全に戻っています。各地の観光地は賑わいを取り戻し、ハノイ市内の人気レストランには行列が出来ています。

7月に米国CNNが運営する旅行サイト「世界のベストスープ料理20選 (20 of the world’s best soups)」で、ベトナムの「Pho Bo:フォーボー(牛肉のフォー)」が選ばれました。フォーボーは、牛骨スープに魚醤、シナモンスティック、ブラックカルダモン等を加えた米粉の麵料理です。
 
<誕生120年のフォー>
フォーは、誕生して120年の比較的歴史の浅い料理です。牛肉のフォーの人気が高まったことにより、農耕作業用の牛が食肉用に数多く転用されはじめました。これを心配したフランス植民地政府は1939年に牛肉の販売を制限し、代替品として鶏肉が利用されるようになり、フォーガー(鶏肉のフォー)が誕生したと言われています。

ベトナムの国土は南北に約1,650キロメートルと長く、フォーの味にも違いがあります。北部のスープは透明、低脂肪の塩辛味で、南部は濃厚、油が強めの比較的甘いスープです。トッピングにも特徴があり、北部では唐辛子、ライム、クワイを使い、南部は多種多様な香草、薄切りタマネギ、パクチー、レモンバーム、もやし、ゆで卵、豚の内臓等です。
 
<ハノイ近郊で人気の米麺料理>
ブン・チャー)
麺の代表選手「フォー」は、日本のきし麺に近い平麺ですが、「ブン」という丸いうどん状の麺があります。代表的な料理としては「ブン・チャー」というつけ麺が有名です。中には、タガメから抽出した昆虫油が利用されることもあります。タガメ油は特別な香辛料として重宝され、雄のタガメは、繁殖時にメスタガメを引きつけるための匂い袋をもっています。この匂い袋から取れる油を魚醤に加え、つけ麺として食べます。とてもフルーティーな甘い香りを放つスープとなります。

【タガメ】

(ブン・タン) 
ハノイの名物料理「ブン・タン」は、旧正月に利用したお供え物を活用し、お正月の最終日につくられる料理です。鶏ガラと干しエビを煮込んだあっさりとしたスープが特徴で、トッピングには切り干し大根や椎茸、干し海老、ハム、細切鶏肉、錦糸卵等、合計12種類の具材をたっぷり乗せます。

【ブン・タン】

(バイン・ダー・カーロ) 
ハノイに隣接するハナム省の名物「バイン・ダー・カーロ」は細麺ですが、長時間出汁につけても伸びにくいのが特徴で、淡水魚の唐揚と小松菜が添えらます。スープは淡水魚の骨を長時間煮込んで作られ、うまみは濃いながら、マイルドな味となっています。生姜の香りがするスープは生臭さがなく、トッピングにバナナの花やパクチーが使われます。
 
<順調な輸出を見せるベトナム米>
ベトナムは、2021年インドに次いで2番目の米の輸出国です。2022年は新型コロナウイルス拡大およびウクライナとロシアの紛争の影響を受け、多くの製品が輸出量を減らしている中、本年6カ月間の米輸出は350万トン、17億ドルに達し前年同期比12.6%増となり、世界の中でも重要な食糧輸出国となっています。

米料理であるフォーも、ベトナムの料理大使として、各国に広がりをみせています。日本でも、ハノイの人気フォーボー店が新宿西口に開店しました。今後、ベトナムの米料理は、世界でもポピュラーな米料理として、さらに普及して行くと思われます。

【ハノイ市内のフォー店】

(ベトナム/ハノイ ビジネスサポーター 中川 良一)

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