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機能獲得実験は半年以内に成果が得られるなど実績作りに都合が良いことから、多くの研究者たちがこれに手を染めているという

2023年03月06日
「コロナは中国・武漢研究所から流出した!」、アメリカの確信のウラにある「ウイルス研究」と「次のパンデミック」の危険な関係
藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー
「新型コロナの起源について、米エネルギー省は中国の武漢ウイルス研究所から流出した可能性が高いと判断した」。
2月26日、ウォールストリートジャーナルがこう報じた。
「コロナ起源」は、ついに核心に近づこうとしている。
経済産業研究所のコンサルティングフェローの藤和彦氏は、当初からのこの問題を分析してきた。前編『「コロナウイルスは中国・武漢研究所から流出した!」、アメリカが確信した「膨大なデータ」のヤバすぎる中身』に続き、深層に迫っていく!

「武漢研究所」の遺伝子情報
米情報機関がどのように一連のデータを入手したかは明らかにされていないが、ウイルスの遺伝子情報に関するデータベースは、クラウド形式の外部サーバーに接続しているケースが多いことから、ハッキングによって入手した可能性が高い。
武漢ウイルス研究所のデータベースには2万2000に上るウイルスの遺伝子データが保存されていたが、2019年9月に中国当局によってインターネットから遮断され、その後、外部からのアクセスが不可能となっていた。

膨大な情報を入手した米情報機関は、エネルギー省傘下の研究所にデータの解析を委ねたとされているが、複雑な遺伝子配列データを解釈できるスキルを有する「ローレンス・リバモア研究所」(前編で詳しく紹介)が中心的な役割を果たしたことは間違いないだろう。

真相究明への期待が高まったものの、これらの情報は中国の専門用語で書かれていたことから、検証作業には多くの時間を要した。
作業開始から1年以上が経ち、ようやく分析が終わった結果、ローレンス・リバモア研究所は改めて「武漢ウイルス研究所が機能獲得実験によって新型コロナウイルスを作成した」と判断し、「人為的に作成された新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から誤って流出した」と結論づけたのだろう。


不可解な「米政府」の見解
一連の流れにかんがみれば、エネルギー省の見解の価値は高いと思うが、「確信度が低い」と判断されたのは不思議でならない。
WSJの報道を受けて、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「今のところ、情報当局から出た最終的な答えはない」とそっけない。
下院で多数派となった共和党が、新型コロナの起源究明についてのバイデン政権の不作為ぶりを追及する動きを強めており、ホワイトハウスとしては「寝た子を起こす」ことは避けたいところだ。
偵察用気球の撃墜のせいでぎくしゃくしている中国との関係もこれ以上悪化させたくないだろう。

「ウイルス研究」がパンデミックを引き起こす?
バイデン大統領は「将来的なパンデミックを防ぐための取り組みが重要だ」と述べているが、筆者は「世界各地の研究所で実施されている機能獲得実験の実態にメスを入れることが喫緊の課題だ」と考えている。
機能獲得実験の目的はパンデミック予防や治療薬の開発などと言われているが、実際に役立った例は皆無に等しい。
だが、機能獲得実験は半年以内に成果が得られるなど実績作りに都合が良いことから、多くの研究者たちがこれに手を染めているという。
リスクが大きい機能獲得実験を野放しにしたままでは、世界のどこかの研究室で誕生した危険なウイルスが流出し、再び新型コロナのようなパンデミックが起きてしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。
エネルギー省の見解の重要性は、新型コロナが人為的に作成されたことを証明したことにあると思う。
機能獲得実験の恐ろしさを改めて認識させてくれるのではないだろうか。

さらに連載記事『鳥インフルに「人為説」が台頭か!?WHOが警戒する「次のパンデミック」、その背景に透けるヤバすぎる「流行の謎」』では、「機能獲得実験」をおこなう研究所からいつでもウイルスが流出し、パンデミックにいたる可能性が厳然と存在する問題をさらに詳しくお伝えする。https://gendai.media/articles/-/106937?

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