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「孟晩舟事件」以降、欧米のみならず、アジア諸国でも、華為を排除する動きが高まっている。各国はようやく、中国企業の怖さに気づき始めたようだ

「孟晩舟事件」以降、欧米のみならず、アジア諸国でも、華為を排除する動きが高まっている。各国はようやく、中国企業の怖さに気づき始めたようだ
2019年01月24日

以下は昨日の産経新聞に「ファーウェイ排除される理由」と題して掲載された矢板明夫の論文からである。

「弊社の社員、王偉晶はポーランドの法律に違反し、個人的な理由で逮捕されたため、雇用契約に関する社内規則に基づき労働契約を終了する」 
1月12日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、同社ポーランド支社の幹部、王偉晶氏を解雇するとの声明を発表した。
王氏がスパイ容疑でポーランドの治安当局に拘束されてから、わずか4日後のことだった。 
ポーランドメディアなどによれば、王氏は中国政府のために違法な情報収集活動を行った疑いがある。
元ポーランド内務省高官だった同国籍の男性も共犯として同時に逮捕された。
王氏は容疑を否認しているという。
事件の捜査が始まった直後に、華為がいきなり王氏を解雇するという結論を出したことに、中国国内では「早急すぎる」との批判が出ている。 
王氏と比較されたのは、昨年12月にカナダ当局に逮捕された、同社の副会長、孟晩舟氏だ。
米国の対イラン制裁に違反した容疑だが、逮捕後、華為は何度も「事実無根だ」と否定し、カナダに孟氏の釈放を求め続けている。 
孟氏は華為の創業者の長女で主要幹部という立場があるとはいえ、同じく外国の治安当局に逮捕された王氏との対応の違いが注目された。 
中国政治に詳しい専門家は「2つの事件はいずれも国家安全に関わっており、一企業として対応できるレベルを超えている。孟氏を守ることも、王氏を解雇することも、中国当局が決めたことだろう」と分析。
その上で「孟氏は、中国のIT戦略など多くの重要な秘密を知っており、海外で裁判が開かれることをどうしても避けたい。これに対し王氏は“小物”で、華為のイメージのさらなる低下を避けるために切り捨てられた」との見方を示した。 
華為の声明では、王氏が逮捕されたのは「個人的な理由」としているが、その経歴には中国当局の工作員と思わせるところがある。 
2002年に北京外国語大学を卒業した王氏は、外交官としてポーランドドの中国総領事館で06年から約5年間勤務。
11年に転職し、華為のポーランド支社に入社した。 
しかし、中国の全国人民代弄大会(国会に相当)が09年に可決した「外交人員法」では、外交官について「海外赴任中に退職することができない」と明記している。
ある中国の元外交関係者は「王氏は退職したのではなく、政府の指示で仕事しやすい身分に変えただけだと考えた方が自然だ」と指摘する。 
華為は中国の国有企業ではないため、これまで民間企業として国際社会で活動し、シェアを拡大してきた。
しかし、裏では中国政府とさまざまな潜在的なつながりがあることは孟氏と王氏の事件で一層浮き彫りになった。 
また、中国には国家情報法という法律がある。
「(中国の)機関や市民が同法に従って、国家の情報活動を支援し、協力する」ことを義務付けている。
中国当局から「諜報活動への協力」を要請されれば、華為を含むすべての中国企業は拒否できないことになっている。  
「孟晩舟事件」以降、欧米のみならず、アジア諸国でも、華為を排除する動きが高まっている。
各国はようやく、中国企業の怖さに気づき始めたようだ。(外信部次長)

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