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中国が先端技術を獲得する手法について「特定分野の遅れを補うため、さまざまな手段を用いて」いる

中国が先端技術を獲得する手法について「特定分野の遅れを補うため、さまざまな手段を用いて」いる
2020年11月22日
以下は11月13日の産経新聞からである。
中国、AI軍事利用
防衛研報告民間から技術獲得
防衛省のシンクタンク、防衛研究所は13日、中国の安全保障に関する動向を分析した年次報告書「中国安全保障レポート2021」を公表した。
中国は人工知能(AI)などの先端技術が将来の戦争の帰趨を左右するとして、集中投資していると指摘。
民間企業の先端技術を軍事分野に応用する「軍民融合」を進め、欧米諸国と摩擦を起こしていると批判し、日本側も警戒が必要だと訴えた。
報告書のテーマは「新時代における中国の軍事戦略」。
中国政府が2019年7月に公表した国防白書「新時代の中国国防」に基づき、中国人民解放軍がAIやビッグデータなどの最先端技術を積極的に導入していると指摘した。 
中国政府は最先端技術を獲得する上で「軍民融合」を重視しており、国有企業による海外企業の買収・子会社化や、高度な技術を持つ人材を招聘する人材獲得政策「千人計画」などを涌じ、技術水準の向上を図っているという。欧米諸国は対抗措置として、米国による輸出管理の厳格化など、対中貿易全体で規制強化を進めているとも強調した。 
一方、宇宙では363個の衛星を使い、陸海空軍の作戦を情報面で支援するシステムの運用だけでなく、他国の宇宙利用を妨害するため、衛星と地上管制施設の通信を妨げる電子妨害兵器の開発を進めていると批判した。 
こうした動きを受け、政府は日米同盟による抑止力と対処能力の向上に加え、安全保障の新領域で優勢な立場を確保するために防衛態勢を充実させる必要があると説いた。

「千人計画」狙われる人材
防衛研究所が公表した年次報告書「中国安全保障レポート2021」は、具体例を挙げながら中国政府が最先端の軍事技術の獲得を進める現状を詳述した。
中国は「軍民融合」のもとで武器や装備品の研究開発に参入できる民間企業を増やしており、防衛省関係者は、高度な技術を持つ人材を招聘する人材獲得政策「千人計画」を含め、「日本人が知らぬ間に中国の軍事力強化に協力している可能性もある」と警鐘を鵈らす。  
報告書は、中国が先端技術を獲得する手法について「特定分野の遅れを補うため、さまざまな手段を用いて」いると指摘する。
例えば、鉄道車両を製造する中国の国有企業の子会社が2008年に英国の半導体製造企業「ダイ〇ックス」を子会社化した事例では、同社が持つ「パワー半導体デバイスTGBTの技術が流出した。
この技術は中国海軍の空母の電磁式カタパルト(射出機)の開発に貢献したという。 
さらに注目されるのが、中国政府が国内の民間企業を活用している点だ。
これまで国有企業にしか認めなかった機微な武器や装備品の研究開発・製造に、民間企業も参入できるよう制度を改めているという。 
報告書では、2016年3月時点で千社以上の民間企業が生産許可を取得していると指摘。
防衛省関係者は「中国に進出している日本企業は、自分の合弁相手が軍需参入していないか注意が必要だ」と話す。 
人材面でも懸念は深まっている。
「千人計画」をめぐっては、米国が今年1月、米政府に虚偽説明をしたとしてハーバード大の教授を逮捕、起訴した。
この教授はナノテクノロジーの第一人者とされ、米国防総省などから補助金を受け取っていたが、中国政府から研究姿金を得ていたことを隠していたという。
「千人計画」に関しては日本学術会議の連携会員を含め、日本人学者も参加した可能性がある。
防衛省関係者は「中国の狙いを自覚しているのか」と眉をひそめる。


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