見出し画像

浮気調査を止める思考実験(シュレーディンガーの猫)

「浮気してるかどうか調べる行為ってさ、『シュレーディンガーの猫』だよね」

「え?なんの猫?」

「シュレーディンガーの猫」

「なにそれ」

「蓋を明けるまでは、猫が生きてるかどうか分からないってこと」

「意味わかんない。浮気となんの関係があるの」

「例えばさ、彼氏が浮気をしてるかどうか知りたいとするじゃない」

「浮気してるの?」

「例えばだよ」

「ん〜」

「例えば」

「ハイハイ。例えば、私が知ろうと思ったとして。それで?」

「君が調べるまでは彼氏が浮気してるかどうかは分からないよね」

「彼氏がバカで脇が甘くなかったらね」

「そう。で、君は調べようと思う。」

「うん」

「でもさ、調べたら分かっちゃうわけだ。浮気してるかどうか」

「うん」

「調べなくていいんじゃないかと俺は思うんだよね」

「浮気してるの?」

「蓋を開けたら猫が生きてるか死んでるか分かる。けど、開けるまではどっちか分からないんだ」

「じゃあ、どっちにしろ開けるしかないじゃない」

「でも、蓋を開けて何もなかったら、君はきっと、『私が浮気の証拠を見つけられなかったのは、きっと私が見つけられなかっただけだ』と思うと俺は思うんだよね」

「そうかも。でも猫が生きてたら見たら分かるわよね」

「生きてるように見える死んだ猫かも」

「生きてるかどうかは私が見て決める。それじゃダメなの?」

「ん〜ダメじゃない」

「で?浮気してるの?してないの?」

「してるとも言える。してないとも」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?