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シン仮面ライダーは弱男を倒してしまった。その2

シン仮面ライダーの感想です。ネタバレがありますのでこれから観ようと思っている方はご注意ください。
観た事がある人向けに書いていますので登場人物の詳しい説明は省きます。その点もあしからず。

まず何から話そうかと思いましたが、やはり本郷猛についてでしょうね。

言わずと知れた主人公。仮面ライダーですね。

ただテレビ版とは違い暗い感じのキャラになってましたね。
石ノ森先生の原作漫画の雰囲気に寄せているからでしょうか。

優秀ではあるが故に人と上手く馴染めずにバイクで放浪の旅をしているとルリ子に言われていました。

なんかテレビ版は藤岡さんのキャラもあり好青年で明るい陽キャでしたが、庵野版は確実に陰キャっぽいです。

テレビ版ではスポーツ万能頭脳明晰なところをショッカーに目をつけられ改造人間にされてしまいますが、映画版だとテレビ版と同じ様な設定に加えて過去に暗い過去があり、優秀だけど人と馴染めずにバイクで旅する青年であり、力を欲していたというところに目をつけてショッカーで研究をしていた緑川博士の手によりバッタオーグに改造されます。

自分の意思はそっちのけってところは同じですね。

だからこそ本郷猛は自分自身の事について最初は苦悩します。

最近の方のシーンは映画を観た人はギョッとしたんじゃないでしょうか。自分も驚きました。

緑川博士に娘であるルリ子を助ける為とはいえ仮面ライダーがこれでもかという圧倒的な暴力で戦闘員達を薙ぎ倒していくシーンです。

音や血の表現を過剰なほどにして仮面ライダーがどれだけ人間離れしており、強者なのかを見せられます。

ここでヒーローである仮面ライダーを観に来た方は眉をしかめた事でしょうね。
こんな過剰な演出の戦闘シーンが続くのかと思った事でしょう。自分もそうなのかなと思いました。

ただこれは庵野さんの素晴らしい演出であり、物語が進めば本郷猛が力を制御して戦っていたり、出来るだけ暴力で解決しない様にしている事がわかります。

本郷猛自身が劇中でも言っていましたが「こんな力は望んでいなかった」からこそ自分の強すぎる力を行使する事を躊躇います。

本郷猛は優しいのです。そして優しいが故に悩みます。

本郷猛は最初は自分の力で何をするべきか考えますが、自分自身を改造した緑川博士が残した言葉に従って娘のルリ子を守る為に力を使います

ルリ子がショッカーと戦う事を選んでいるので自然と本郷猛もショッカーと戦う事になります。

ここもテレビ版とは大きく違うところでしょう。
正義の心でみんなの為に本郷猛は戦うのではないのです。

本郷猛は極めて個人的な動機でこの後もショッカーと戦う事になります。
そして作品を観ていくとわかるのですが庵野版の本郷猛はとても人間です。

超人的な力を持ってどんな困難にも負けずに巨大な敵に挑み、正義の為にみんなの平和のために戦うヒーローではありません。

強くて負けても特訓して必ず立ち上がって敵を倒す。
ある意味で「なろう系主人公」の様だった本郷猛はこの作品には存在しませんでした。

これは個人的に感じた事ですが、庵野版の本郷猛はまさに弱男なのです。
精神性はまさにそうだと感じました。ただ弱男と決定的に違うところもあります。

それはやはりルリ子の存在でしょう。

本郷猛はルリ子と触れ合う事で孤独ではなくなって行きます。
この作品の登場人物達は孤独なキャラクターが多い様に感じました。
どんなに強い力を持ち、多くの人より優れていても孤独である。
理解されない孤独、分かり合えない孤独、強者故の孤独、理不尽な孤独、悲しみの孤独。
それぞれがいろんな孤独を背景に背負っていたように感じましたが、本郷猛はルリ子と共に行動する事で変わります。

ルリ子には兄を止めるという目的があり、その為にショッカーと戦っています。
そんなルリ子の戦いに自ら巻き込まれて行くようになります。

そして戦いは進み、その中で本郷猛とルリ子は心を通わせてだんだんと気持ちが変化していきます。
本郷猛もルリ子も孤独ではなくなって行くように感じました。

2人の間に特別なものが生まれつつある時に兄である蝶オーグと2人は出会う事になります。

ここから物語も大きく動いて行く事になるのです。

長いので次回に続く!

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