見出し画像

場面緘黙症について

場面緘黙症って聞いたことありますか?
私の中では最近割とメジャーになってきたなという印象です。
一時期場面緘黙症の当事者の方の漫画が話題になっていたのを見ました。

私が読んだのはこちらの本でした。
絵も可愛らしくて読みやすかったのでおすすめです。

場面緘黙症って何?

場面緘黙症とは、言葉を話す能力は備わっているにもかかわらず、学校や職場など特定の場所・状況において話すことができなくなる状態を指します。通常は5歳までに発症し、幼児期から小学校低学年で気づかれることが多く、「場面緘黙」と呼ばれることもあります。また、時点有病率は0.03%~1%とされます。
場面緘黙症は、情緒障害*のひとつに含まれていますが、障害として認識されにくい面もあります。そのため、人見知りや恥ずかしがり屋と間違われたり、周囲の方から心ない言葉をかけられたりして傷つくこともあります。

場面緘黙症について メディカルノート

私の場合

家では話せるのに学校では話せない

家ではそれなりの日常会話はできていました。
(虐待などもあったのでビクビクはしていたと思いますが)
集団登校のグループでも話せました。
しかし学校の門をくぐった瞬間、ぴったり声が出なくなるのです。
そして下校と共にまた話せるようになる。
本人はもちろん、先生もすごく不思議に思っていたことでしょう。
でも当時「場面緘黙症」という言葉は見たことも聞いたこともありませんでした。
先生がまず疑ったのは自閉症などの障害でした。
ただ肩ひじ張って子育てをしていた母が先生の助言を受け入れる訳がなく……個別面談の時間を持ってくれた先生を「家の子が障害児だって言いたいんですか!?」と怒鳴りつけ、私を引きずって帰りました。
家に辿り着いたら鬼のような形相で「お前がちゃんとしないから恥をかいただろう!!」と大荒れの大暴れ…。
先生としては気になる生徒だからこそ力になってくれようとしていたのにその後も母は全てを突っぱね、その度に私でストレス発散を行うので最終的には「先生、余計なこと言わないでくれないかな…」と思っていました。
一生懸命解決策を模索してくださっていた先生には本当に申し訳ないことをしました…。

クラスメイトの間では「話をしない変な奴」

場面緘黙症を克服するにはまず正しい診断(障害や精神疾患の可能性を取り除く)ことから始まります。
でも母は認めません。
父は子育ては母に一任しているので口出しできません。
私が抱えている症状がよくなる要素が一つもなく、クラスでは「アイツ、全然喋らないぞ」という雰囲気になってきます。
最初は純粋な気持ちで話しかけてくれていた子もいました。
でも一切リアクションがない人に構い続けるほど他の子だって暇じゃありません。
親との相談もできないと判断した先生に「ななしさんお世話係」を作られ、その子が全てを代弁するという形になりました。
ですがその子は私ではありません。
話せない私が悪いのですが私が思っていないこと、絶対に言わないことまで「ななしさんが~」と報告されるようになってしまいました。
そして何も話せない私のノートに落書きをしたり、私物を持ち帰られたりといういじめに発展しました。
最初はその子だけが私にちょっとした嫌がらせを行い「ななしさんがまたノートに落書きしてます」「忘れ物してます」と嘘の申告をされる程度でしたが私が何も訴えないものだから行為はどんどんエスカレート。
クラスの中でも「ななしになら何してもいいんだ」という共通認識ができてしまい、1年から6年までいじめられっ子生活でした。

本人はなかなか気付けない

発症する年齢が比較的小さい頃が多いので本人が「私、場面緘黙症だわ」と思うことは少ないはずです。
発覚のきっかけは大体外部からの指摘です。
私の親もそうでしたが「他の子と違う」という事実を他人から突き付けられるのって辛いですよね…。
でも何事も早期発見、早期に取り組むことって大切です。
「家庭では普通なのに」とか「家の子が変な目で見られている」とか……そういう親としての葛藤はあって当然なのですがまず困っている子どもに寄り添ってあげて欲しいと思います。
親が悩んでいるように子どもも「何で自分だけできないんだろう」という思いを抱いていますし、自分を責めているパターンも多いです。
子ども自身が「場面緘黙症だわ」「発達障害だわ」と診断名まで辿り着くことは難しいですが「何かおかしい」「普通にできない」劣等感は持っていたりします。
「何でできないの!?」「家じゃ普通でしょう!?」と怒りをぶつける前に原因を一緒に探す方向へ持っていけるのが理想です。
どうしても自分だけで向き合うと子どもを責めてしまう(自分を責めるのも良くないです)という場合は遠慮なく専門家の方に頼ってください。
「学校の先生が頼りない」という意見もよく聞きますが最初から完璧にできる人間なんてこの世には存在しません。
親だって子どもだってそうです。
なので「頼れる部分だけ頼る」作戦で十分だと感じます。
頼りないかもしれないけど学校は様々な機関と直接繋がっています。
どんなサポートが受けられるのかだけ教えてもらってそこへ出向くときは家族だけでという方法でもOKです。
とにかく子どもの異変を甘えやわがままと決め付け、突き放すことだけはしないであげてもらいたいです。

私の回復?パターン

色々偉そうに書きましたが私の場合は「気合・根性・努力」で乗り越えたようなものでした。
周りからのサポートは期待できない、でも何とか生きていかなきゃならないということで徐々に克服していった感じです。
でも今でも完全に抜け出せたわけではありません。
小学生の間はほぼ改善されず、一言二言話すだけで冷や汗ものでした。
中学では必要に迫られて離さなければならない場面があり、その時は随分流暢に話しました。
でも会話と言うより一方的に呟いていた?感じでした。
高校では仲のいい子とのみ何とか会話が成立するようになりました。
社会人になってからは環境が一変しすぎて再発。
接客業(何故それを選んだのか謎)はクビになりました。
今でも初対面の人がいる場所ではしばらく固まってしまいます。
ただ個人的にいつまでも「人見知りなんで~」と言い続け、相手に気を遣わせるのは違うなと思って以降はせめて笑顔でいるようにしています。
まぁその前に初対面の人がいる場所にはできるだけ出向かないようにはしているのですが……。
もっと自由に話せたらもっと世界が広がっていたんじゃないかと落ち込まない日がない訳ではありません。
でも過去は変えられません。
自分のお金で病院に行けるようになってから精神科を受診し、相談もしました。
そこでまたちょっとだけ前に進めた気もしています。
誰でも初対面は緊張するもの、私はそれが人より強く出るだけ---そう言い聞かせています。
現状それで何とか保っているのならまぁいっか…という諦めにも似た境地にいます。


お気に留めてくださり、ありがとうございます。 サポートいただいた分は今後の執筆活動を充実させるため、有効活用していきたいと思います。