ADEについて勝手に思う、荒瀬教授の思い

 人は自分の属している組織とか養う家族がいたら、そこまで過激なことはできないものだと思います。身近な人を幸せにすることが最も尊いと多くの方が思っている気がします。そしてそれは正しい気がしています。それでも、やむにやまれぬ良心とか、職業上知り得たことで訴えなければどうしても自分の生き方に反するとかいうことは、誰にでもあると思います。

 たとえば、ノーベル賞受賞者モンタニエ博士や、ファイザー社元副社長のマイケルイードン博士は、ストレートにコロナワクチンの危険性を訴えて、科学界の信頼を失いました。「デマの吹聴者」というレッテルを世界中から貼られることになりました。

 これは「勇気ある極端な例」だと思います。私みたいに今のところ少なくともコロナ騒動に対して「何者でもない人」は、零細ブログでコロナワクチンの危険性を書いたり、親しい友人や所属する組織にコロナワクチンの危険性を訴えるくらいが、せいぜいできることだろうと思います。

 ただ、これまでもこのnoteで触れさせていただきましたが、今日はもうちょっとしつこく、荒瀬教授の発表のある部分を考えたいです。荒瀬教授は、「新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性―」において、下記のように書かれ、図を出しています。

COVID-19患者における感染増強抗体の解析を行った。競合阻害法によって、感染増強抗体が特異的に検出できることが判明した。そこで、COVID-19患者における感染増強抗体と中和抗体を測定し、その差を解析することにより、重症患者では感染増強抗体が高い傾向が認められた。

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 上図をみますと「ばらつきはあるものの非重症患者でも重症患者でも、どちらにしろ感染すると感染増強抗体の方が多く検出された」となっているように思います。つまりコロナウイルスに感染すれば、どちらにしろ感染増強抗体と中和抗体、同じくらい作られるということでしょうか。

 さらに考察を進めます。荒瀬博士は「本研究の考察と意義」の一番最後に「感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。従って、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。本研究で明らかになった感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン開発が可能になると期待される。」と書かれています。

 そして荒川先生の記事でこのようにあります。太線は私です。

キャップ構造とはmRNAをタンパクに翻訳を開始させるのに必須の化学構造です。スパイクンパク前後の非翻訳領域、ポリA配列はRNAの安定化に貢献します。何よりもウリジンの1-メチルシュードウリジンへの置換はmRNAを分解から保護します。このためmRNAワクチンはすぐには分解されず、実際にどれ程の期間細胞内に留まるのか分かりません。

 つまり、なかなかワクチンmRNAは分解されないようです。そうなると、延々とスパイクタンパク質を作ることになり、延々とB細胞による抗体産出を続けることになるでしょう。そしてその抗体は、中和抗体だけではなく、感染増強抗体も含まれると思われますつまり、中和抗体と同時に、感染増強抗体も膨大な数が産出されると思われます。

 もう一つ、荒瀬先生の研究を考えたいと思います。abstractです。太線は私です。

mRNAベースのワクチンは、ほとんどの一般的なSARS-CoV-2亜種に対して効果的な防御を提供する。しかし、突破口となりそうな変異体を特定することは、今後のワクチン開発にとって極めて重要である。今回、我々はDelta変異体が抗N末端ドメイン(NTD)中和抗体から完全に逃れる一方で、抗NTD感染性増強抗体への反応性を高めていることを明らかにしたPfizer-BioNTech社のBNT162b2-免疫血清はDelta変異体を中和するが,Delta変異体の受容体結合ドメイン(RBD)に4つの共通変異を導入すると(Delta 4+),一部のBNT162b2-免疫血清は中和活性を失い,感染性が増強されることがわかった。BNT162b2-免疫血清による感染力増強には,Delta NTDの特異的な変異が関与していた。野生型スパイクではなくDeltaスパイクで免疫したマウスの血清は,Delta 4+変異体を中和し,感染力を増強させなかった.GISAIDデータベースによると、3つの類似したRBD変異を持つDelta変種がすでに出現している事実を考えると、このような完全なブレークスルー変種から防御するワクチンの開発が必要である。

 NTDやRBDに関する図を「新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性―」より挙げさせていただきます。

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 荒瀬先生は、コロナウイルスのスパイクタンパク質のNTDとRBD両方について考察されています。

⑴Delta変異株は抗NTD中和抗体から完全に逃れる一方で、抗NTD感染性増強抗体への反応性を高めている。

⑵Delta変異体のRBDに4つの共通変異を導入すると(Delta 4+),一部のBNT162b2-免疫血清は中和活性を失い,感染性が増強される。

 つまり、コロナスパイクタンパク質のNTDとRBD両方において、著しくADEが高まる危険性を荒瀬先生は指摘しています。そして、そのような感染増強抗体を作り出すエピトープを今回のコロナワクチンは削っていません。さらにシュードウリジン修飾された遺伝子ワクチンは、なかなか分解されず延々と体内にスパイクタンパク質を作り続けます(そのスパイクタンパク質自体がかなりの脅威です)。そしてそれに対処する抗体が延々と作られると思われます。そしてその抗体は中和抗体だけではなく、感染増強抗体も含まれると思われます。

 しかし荒瀬先生は、メディアではこんな感じで話したようです。

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 「ワクチンを打ってADEが起こって感染症がひどくなる可能性はないのでは」と発言なさっています。

 普通は「言っていることとやっていることは違うのではないか!」と思うかもしれません。でも私は違う感想を持ちました。

 研究者として、今回紹介させていただいた発表のように「ADEもしかしたらやばいよ」ということを暗示してくださったのです。人には役割があると思います。本当は荒瀬先生はADEを危惧されていて、データを基にちゃんと自分で考えなさいと、周りの方々に問いかけている気がしてしょうがないのです。あからさまな「反ワク」の発言はせずに、メディアの場で発言する機会を得て、自分の研究を少しでも多くの人に見てもらいたいという動機でやっているように私は思います。「反ワク」をあからさまに主張すると、ADEについて危険性を訴える公的な場がなくなってしまうので、メディアでは「ADEは起きません」と言いつつ、本業の場での論文発表では「ADE起こる可能性ありますよ」と、全体としてはうまくオブラードに包みながら、訴えていらっしゃるように私には思えてなりません。荒瀬先生のメッセージは、「今回のワクチンの危険性をちゃんと考えてください」だと理解しています。

※この記事は私個人の見解であり、いかなる組織や個人とも関係ありません。

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