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めくるめく、やまと絵の世界へ

2023年10月某日
やまと絵 受け継がれる王朝の美
東京国立博物館


結論から言うと、「やまと絵」をいっぱい観られたのが良かった~すごく。
過去に鑑賞した作品もあるけど、こうやってまとめて展示されていると、なんとな~く流れやトレンドが体感できる。
柔軟性とかアレンジが展開していくさまがおもしろき。
その結果、バラエティ豊かな「やまと絵」が形作られてきたのね~

ところで「やまと絵」とはなにか?
って特に考えたことがなかったかも。公式サイトによると…
中国的な唐絵に対して、日本的な風景や人物を描いたものを「やまと絵」と呼んでいたそう。
その後、時代ごとの理念や技法を取り込みながら独自に発展。

最初は中国をお手本にしていたけど、そこから飛び出してクリエイティビティがあふれ出ちゃうってもんだ、クリエイターなら。
正当派からおもしろまで、すべてを包み込むのか「やまと絵」なんだね!
てなことをガッツリ感じられる展覧会なのだった。


まずは山水屏風、浜松図屏風などから静かに始まり、怒涛の展開になだれ込む!?

・一字蓮台法華経
文字がすべて蓮の花の上に書かれている。祈りの気持ちがすっごい乗ってる。

・平家納経
紙のデザインからしてゴージャス。表裏縁すべてが最高級。ビカビカ。絢爛豪華

・辟邪絵 神虫
見た目は怖いが、人間にとって悪いもんを食べてくれる、いい神様。
がぶっ!といっちゃってくれてる。

・病草紙
病の症状がえぐい。辛そう…霍乱とかさあ…

・地獄草紙
火を吹く象の地獄があったとは。
六道の思想とそこから発想された作品はグッとくる。
ちょっとした罪悪感なら、誰でも大なり小なり心当たりがあるからだと思う。人間だもの。

・餓鬼草紙
地獄の炎と血の海がさすがのエグさ。
餓鬼たちに施しをする僧侶たちが描かれていて、ちょっとほっこりする。

・信貴山縁起絵巻
先日、永青文庫の模本で予習済み。
鉢が飛んでみんなびっくりしながら楽しそう。わーい!
そして米俵もどんどん飛び上がる、思ってる以上にいっぱい飛びまくる。鹿もびっくり!
味がある画風。のどかな雰囲気が漂う。
でも人も建物も結構緻密に描かれているのよ。

・伴大納言絵巻
燃えさかる応天門を中心に、みんな大慌て。上を下への大騒ぎ。はわわわ~
そのはわわわ~の表情の描き分けがすごい。そして煙の描写がすごい。
右から徐々に人が増えてきて、火災現場が出てきて、左側も人がぎゅうぎゅうで。
当時の人は絵巻を巻き巻きしながらハラハラドキドキ眺めていたんだろうな。
一巻すべて広げて展示していると、構図がよくわかる。
しかし…応天門の変て、政治的な陰謀が渦巻く事件だったよねえ。伴善男気の毒。

・鳥獣戯画 甲巻
みんな大好き鳥獣戯画。うさぎとカエルがきゃっきゃしてる巻。
やっぱり楽しいね。ただし全場面じゃあなかった。
2年前とは違って動く歩道はないので、渋滞気味。
でも本物が観られるのはいい。
甲だけじゃあなく、乙丙丁それぞれおもしろいんだよ~

・男衾三郎絵巻 
鳥が連なる描写。観音ビームがありがたや~な絵面がおもしろき。
でも実はわりとえげつない話らしい。
また機会があればじっくり観たい。

・一遍聖絵 
踊る一遍上人。ライブが感あるなあ。
とにかく街へ繰り出して、いろんな人とストリートでフェイスtoフェイス。
牛車が浮き上がるくらい道がぎゅうぎゅう。熱狂する京都の街。

・天狗草紙
おごった仏教徒を天狗に見立てた風刺画。烏天狗ね。

・十界図屏風
情報量がてんこもり。なぜならば…
地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人・天の六道に、声聞・縁覚・菩薩・仏の四聖を加えた仏教独特の世界観
を描いているから。
右から地獄で始まって、左に進むにしたがって救われる流れ。最後は当麻曼荼羅で締め。
こってり感が好き。

・土蜘蛛草紙
源頼光と仲間たちの土蜘蛛退治の物語。歌舞伎の演目でも有名なお話。
いろんな妖怪が相談しに来てる場面がおもしろき。

・福富草紙
放屁の芸で一発当てた人を真似した人が失敗する滑稽話。ってなんちゅう話やねん!
放屁合戦絵巻を何度か観たことがあるけども!

・仏鬼軍絵巻
仏さま軍団が地獄に乗り込んで浄土にしちゃおう大作戦!
閻魔たちと合戦ですよ~如来も菩薩も明王もマジですよ~と攻め込む。
もちろん仏軍団の勝利。
罪人釜茹で中の釜を蹴散らして逃げていく鬼たち。
一休宗純作って説があるらしい。さすが破戒坊主。

・百鬼夜行絵巻
最古&宮廷絵師(伝土佐光信筆)の作と言われているヴァージョン。
しかしいろんな妖怪を作り出すよねえすごい想像力&創造力。
妖怪を大らかに受け入れるって、日本人のDNAなのかしら?


いや~時間はたっぷりあると思っていたのに、気づけば「16時半です」のアナウンス。
なので最後の方はちょっと駆け足で観る感じになってしまった~
なんと味わい深き「やまと絵」ワールド。

純粋な信仰の気持ちもあれば、ぶっ飛んだ展開もあり。
奥深い示唆に富んでいる話もあれば、おもしろさ重視なお話もあり。
振り幅広すぎぃぃぃな「やまと絵」。
これからはもっと貪欲に楽しんでいこうと思う。

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