見出し画像

古いモノが好きっ!というパワー~江戸時代の好古家たち

2023年3月某日
企画展:いにしえが、好きっ!-近世好古図録の文化誌-
特集展示:来訪神、姿とかたち-福の神も疫神も異界から-
国立歴史民俗博物館

歴史を感じる街、千葉・佐倉。
かつて佐倉城があった場所が佐倉城址公園として整備されている。
その中にある国立歴史民俗博物館。
めちゃめちゃ広くて、何回か行ってるけどまだ全部観てないかもしれない。

■企画展:いにしえが、好きっ!-近世好古図録の文化誌-
第1章 『聆涛閣集古帖』とはなにか
第2章 好古家三代・吉田家の実像
第3章 よみがえる聆涛閣コレクション
第4章 正倉院宝物の「発見」
第5章 『聆涛閣集古帖』をとりまく好古家ネットワーク

江戸時代には、古いモノを愛する「好古家」と呼ばれる人たちが数多くいました。
好古家の間では、自分のコレクションや、実際に見たことのある古器物をスケッチして、「好古図譜」という形でまとめることがさかんに行われていました。
それだけでなく、それらの情報は各地の好古家たちに共有されていたのです。
(歴博サイトより抜粋)

歴博の館蔵品『聆涛閣集古帖(れいとうかくしゅうこちょう)』。
江戸後期に編纂されたこの好古図譜集、今で言う「図録」や「カタログ」のようなものだとか。
考古資料、文書・典籍、美術工芸品などなど、さまざまなジャンルを網羅している。

「好古図譜」という形でまとめ、さらに各地の好古家たちと共有していたそう。
前回の木米投稿にも書いた「文人とそのネットワーク」にも感心したけど、
類は友を呼ぶというか、今みたいにSNSなんかなくてもアナログでもちゃんとつながれる世界。
要は心意気が大事。

兵庫県の神戸・住吉の豪商だった吉田家が三代にわたり編纂した『聆涛閣集古帖』。
ま、やっぱりそれなりの財力があって学者や貴族と交流していたこともあり、お宝に触れる機会も多かったんだろうな~
本展では、書き写したものと実物(や複製品)が並べて展示されているのがポイント。
もちろん実物はきれいだったり細工が細かかったりしてすごいんだけど、描かれた絵がなんとも味わい深い。

別の場所にあったものが再び出会うというのも、歴博スタッフの研究のたまもの。
正倉院宝物にまつわるものもあり、地味だけどなんかすごい。
今回の展示はコレクションの一部。まだまだありまっせ~とのこと。
『聆涛閣集古帖』の全画像はサイトから見られる。
「せめて絵にして残したい」という好古家たちの気概を感じる。

■特集展示:来訪神、姿とかたち-福の神も疫神も異界から-

鬼も神も外からやってくる。
人間は恐れたり崇めたりしながら、折り合いをつけていく。
いずれにせよ仮面が大きな役割を担っている。
仮面をつけることで、鬼あるいは神が憑依する。
丁寧にお迎えして送り出す。

実際にそういった祭事を経験したことはないんだけど、今でも日本各地にはいろいろなカタチで残っていると聞く。
その一端を見られたかな~

来訪神の特集展示がある第4展示室はかなりバラエティに富んでいておもしろい。
おせちや化粧品など消費系から河童や妖怪ゾーン、産業、生産活動などなど。
民俗学の幅広さに改めて気づかされる。
今を生きている私たちも民俗学の一部なんだな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?