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写本という言葉には収まらないゴージャスな中性ヨーロッパの写本

2024年6月某日
内藤コレクション 
写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙
国立西洋美術館


サブタイトルどおり、「いとも優雅なる中世の小宇宙」にひたってきた。

羊や子牛など動物の皮に手書きテキストで作られていた、中性ヨーロッパの書物・写本。
テキストもさることながら、テキスト内外にほどこされた装飾や変な生きもの(?)がみっりち描き込まれていた美しかったなあ。

さりげなく髭のおっさんがあしらわれていて…その正体は後述


金が盛り盛りだったり、赤・青・黄・緑など限られた色味を効果的に配置したデザインなど、もう一枚一枚が美術作品レベル。
テキストとビジュアルの相乗効果で、観る人の心に聖書の世界がグーッとしみ込んだと思う。

そんな写本に魅せられてコレクションしていた内藤裕史氏が、国立西洋美術館に寄贈したのが内藤コレクション。
これまでに小企画展はあったものの、どーんと公開するのは今回が初めてだとか。
いやもうとにかく圧倒された。
一枚ずつでも綺麗でスゴいんだけど、これだけ集まるとより迫力を感じた!
まさに優雅なる中性ヨーロッパの小宇宙にうっとり~

写本の装飾いろいろ


Ⅰ│聖書│Bibles
II│詩編集│Psalters
III│聖務日課のための写本 Breviaries
IV│ミサのための写本 Manuscripts for the Mass
V│聖職者たちが用いたその他の写本 Other Manuscripts Used by the Clergy
VI│時祷書│Books of Hours
VII│暦│Calendars
VIII│教会法令集・宣誓の書 Canon Laws and Livres Juratoires
IX│世俗写本│Secular Books


縦長モチーフをこの場所に置くってレイアウトが斬新


愛嬌たっぷりの鳥。鳥?


もうちょっと装飾してみよう、って思ったらもっと描きたくなった
もっと描いてみたら鳥や動物がやってきた
イニシャルに人物が。ドラゴンもやってきた(右下)


イニシャルにシーンを入れ込む。枠の装飾が素敵


イニシャルの金がもっりもり


人と動物のデザインがおもしろ
イニシャル周りの線と余白埋めるマイクロデザインがおもしろ
余白をぬかりなく埋めるぞ!という気合いを感じる
ドラゴンが気になってしょうがない
なにかの生きものでトリミング。阿吽?
too muchぎりぎり?でも綺麗
手が勝手に動いて思いもよらないものを書くことって、あると思う
枠の装飾のこってり感がいい。レッツシング


ただの髭のおっさんではなく、修道士でした


整然としつつ、メリハリが効いていていいデザイン


金がコッテコテのイニシャルと、端っこの鶏親子


全体的にすごい気合いが入ってる。レッツシング


内藤氏が自分のために購入して、自宅の仕事机の脇に置いていたという「ギステルの時祷書」
こちらも「ギステルの時祷書」。メルヘンチックな雰囲気がかわいい


びっしりと描き込まれた植物がたまらない
さらに細かくカラフルな描き込み


ドラゴン?ネッシー?が気になる


イエスさまは生まれた瞬間からほほえんでいたのだろうか


右側の牧歌的な風景が、余白デザインにも反映されているような


はあ~素敵


これ周りが刺繍で装飾されている。すごい


矢を放ってるのは何かの暗喩なのだろうか?
枠のデザインがかわいい。狩り、なのか?
枠のデザインがかわいい。小走りでやってきた天使


よくわからん生きものかと思ったら四隅にいるのは猿らしい


妙に味がある画風にほっとする


なんというか、日本との共通点を感じるところもあるんじゃあないかなあと個人的に思うところがあった。
例えば日本では、ものすごくいい紙でお経を作っていたとか。
金泥で文字を書いたり、紙に雲母をすき込んだり、美しい模様を入れたりするっていう、祈りの気持ちをツールに込めるって感覚。
そしてより良いものを作ろうって心意気。
他には、欄外にいろいろ描き込むところ。
日本画の掛け軸でもたまにそういうのがあったりする。
あと花鳥風月っていうけども、ヨーロッパも花が咲くと鳥がやってきて…って同じようなモチーフを愛してるんだなあ。
なんてことを感じながら観た。


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