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シュールの先駆け 形而上的に我が道を貫いたデ・キリコ

2024年5月某日
デ・キリコ展
Giorgio De Chirico:Metaphysical Journey
東京都美術館


去年から気になっていたデ・キリコ展。
あんまり良く知らないからこそ観てみよう!と心待ちにしていたのだった。

自宅サロンにてポーズを取るジョルジョ・デ・キリコ 1968年


人生いろいろ~な感じで、その辺も含めておもしろい人ってイメージ。
シュルレアリスムに影響を与えながらも、シュルレアリストとはややこしい関係だったらしいし。
ただもんじゃあない雰囲気の面構えに、描く絵も一筋縄ではいかないって感じ。

ところで形而上ってどういう意味だっけ?
という気持ちもそのままに、不思議の世界へレッツゴー。


●SECTION 1 自画像・肖像画

大体斜に構えてる自画像群。
顔に圧があるから、フツーに描いても雰囲気あるなあ。


17世紀の衣装をまとった公園での自画像 1959

あまりに堂々としたたたずまい。
でも本人が大きすぎる、ルソー並みに大きすぎるよ!


弟の肖像 1910

弟とケンタウルスと林檎。
意味ありげなモチーフはともかく、構図がかっこいい。


●SECTION 2 形而上絵画

デ・キリコといえば、な形而上絵画。
やっぱり哲学からインスピレーションを受けたらしい。
だからなのか、こう、観る側にすごい考えさせる絵というか、問いかける絵というか。
どう感じるかはあなた次第、みたいな。
深読みしてもいいし感じるままでもいいんじゃあない?


●2-1 イタリア広場

バラ色の塔のあるイタリア広場 1934頃

建物の後ろから何かが飛び出してくるんじゃあないか?って思わせる雰囲気がある。
「バラ色の塔」って、なんだかヨーロッパっぽい言い回し。
全体的な色のトーンが好き。


イタリア広場(詩人の記念碑) 1969

バラ色の塔と構図が似てるんだけど、三角定規みたいのや、ぐるぐるなど、モチーフもりもり。


2-2 形而上的室内


福音書的な静物 I 1916

緑、青、赤。そしてなぜだかビスケット。


「ダヴィデ」の手がある形而上的室内 1968

また三角定規とぐるぐる。
手だけで「あのダヴィデね」ってわかるのって、ミケランジェロのすごさを改めて感じる。


球体とビスケットのある形而上的室内 1971

ビスケット増えてる。
久しぶりにIZUMIYAのクッキーが食べたくなってきたぞ。


2-3 マヌカン


予言者 1914~15

おでこの辺りの模様がおしゃれ。
キャンパスの絵が意味ありげ。


形而上的なミューズたち 1918

ミューズなんだ~ほえ~
三角定規が鼻みたいにあしらわれたキカイダーみたいな…
でも展覧会のメインビジュアルになっちゃうフォトジェニックっぷり。


ヘクトルとアンドロマケ 1924

マヌカンと古典絵画のミクスチャーーー
テンペラだからか、のっぺらぽうなのに温かみを感じるような不思議な絵。


不安を与えるミューズたち 1950頃

そう、なんだか不安だよ!
赤い頭部は取り外し可能なんだ。
手前の三角模様の箱がいいな~と思ってたら、グッズ売り場でピンバッジを発見。ゲッツ。


ヘクトルとアンドロマケ 1970

このカップルお好きなのね。
とにかくいい雰囲気のお二人。


●SECTION 3 1920年代の展開


谷間の家具 1927

室外にある家具。よく考えたら「そこじゃあない」なんだけど。


緑の雨戸のある家 1925~26

妙に明るい色合いが一服の清涼剤のよう。
ハウスインザルーム。これも「そこじゃあない」。


●SECTION 4 伝統的な絵画への回帰
「秩序への回帰」から「ネオ・バロック」へ

西洋絵画の伝統への回帰。
ティツィアーノ、ラファエロ、デューラー、ルーベンスにヴァトー。
みんなビックリしただろうな~
コテコテバロック風だったり、ルノワール風だったり。
振り幅がおもしろい。


岩場の風景の中の静物 1942

葡萄がいっぱい。粒が多すぎる。
描いてたらもっと描きたくなってきたのかなあ?
なぜか葡萄が岩場にあるのはデ・キリコぽい。


風景の中で水浴する女たちと赤い布 1945

古典的なポーズを決める嫁。
クールベやドラクロワの影響が。


●SECTION 5 新形而上絵画

形而上絵画ふたたび。
集大成的な気分なのかな?


オデュッセウスの帰還 1968

自分が描いてきたモチーフがちりばめられている。
でもなんだかポップな雰囲気になっている。
年を重ねるといい感じの軽さを身にまとう人がいるけど、そういう人っていいなあと思う。


オイディプスとスフィンクス 1968

このスフィンクス、全然誘惑する気なさそう~
オイディプスが微妙な表情になっちゃってるよ。マヌカン顔だけども。


瞑想する人 1971

これちょっと新境地っぽくない?


●彫刻作品

吟遊詩人  1970

絵とはまた違ったカッコよさ。パンチ効いてる。
ボリュームと存在感あるわあ~
渋めのゴールドとシルバー。


ギリシャで生まれたイタリア人、ジョルジョ・デ・キリコ。
その後、ミュンヘン、ミラノ、フィレンツェ、パリ、ニューヨーク、ローマなどへ拠点を移していった。
それぞれの場所からインスピレーションを得ているからか、単に本人の性格なのか、ドラスティックに作風が変わったねえ。
でも、そうだよねえ~そうこなくっちゃ!
それがアーチストってもんだよ、きっと。

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