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デザインあふれる榛原の和紙

2024年1月某日
HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美
三鷹市美術ギャラリー


ここ数年、我が家のリビングには榛原の千代紙カレンダーを掛けている。
華やかなものや渋めのもの、植物や季節の風物詩などなど、毎月めくるのが楽しみ。

最初に気づいて買ったのは伊東屋だったけど、その後は日本橋の本店で購入している。
その本店は周りを高層ビルに囲まれながらも、凜とした雰囲気でめっちゃ存在感がある。
再開発の荒波を乗り越えましたな~と見るたびいつも感じている。

ということで、毎日目にしている榛原の千代紙デザイン。
私が好きな河鍋暁斎もデザインに携わっているということもあり、そこもグッとくるポイント。
と言いながら、今回の展覧会に気づいたのはつい先日のこと。
さっそくはるばる三鷹へGO。


●江戸から明治の榛原

熱海製の雁皮紙は品質&墨のつきがよかったとかで。
木版摺りの技術とデザインを施した高級和紙として、国内外で人気が出てくる。


●千代紙

河鍋暁斎と川端玉章によるデザイン


・河鍋暁斎の牡丹
牡丹自体派手めな花だけど、さらにヴィヴィッドな色合いで。
観ているとテンションが上がる。

・河鍋暁斎の桜と楓
青系とピンク系。空間を活かしたデザインとみっちり密なデザインと。
ヴァリエーションもおもしろい。

・河鍋暁斎の菊花
菊って地味かなと思いきや、いやいや。
赤、水色、緑、紫など、バチッとコントラストが効いたした色づかいで、めっちゃ華やか。

色づかいも影響しているのか、
牡丹はでろ~んと重たそうだし、菊はびゃ~っと広がって行く感じだし。
植物が個性とか主張を持っているように感じられる。
さすがですな~暁斎先生。

・川端玉章のデザイン10種
幾何学模様に麦を散らしたデザインが洒落てる。
能尽くし。演目にちなんだアイテムがいっぱい盛り込まれている。
これ全部分かるとニヤニヤしちゃうだろうな~
連獅子の石橋とか、道成寺の鐘くらいしかわかんなかった。

・千代紙デザインの多様性
めでたいデザインが多いように思う。
日常生活に彩りを添えるものだからかしらね。

あと貝。貝好きだよね~江戸時代の絵師たちも貝だけ書いてたりしてるし。
機織りのシャトルがモチーフのデザインとか、幾何学模様とかモダーン。

利休紙風。ふすまなどの装飾用に使われていたとのこと。
箱に入った贈答用千代紙の巻物3本セットがなんか新鮮。
高級な千代紙をを人に贈るってことが成立していた時代だったのね~

さまざまなモチーフ


●四季のうつろいと和紙 団扇・団扇絵

季節感が大事


おしゃれ団扇。とっても繊細そうな造り。
鏑木清方の納涼美人や川瀬巴水の風景がなど、有名どころも。

って「モガと蟹」ってなんちゅう組み合わせ!?
モガ(モダンガール)と蟹が扇子の裏表に描かれている。
デザインした多田北烏という人は…アラ結構スゴい人なんだ~ほえ~
意外な出会いが楽しい。


●はいばら あんなものこんなもの

1940年東京万博カタログ
そんな万博あったっけ?と思ったら、諸事情で中止されたとのこと。まぼろし~
投扇興グッズも作っていた。扇子を投げて落っこちた形で点数を競う、お座敷遊びだよね。


●四季のうつろいと和紙 絵短冊 大小暦

十二ヶ月絵短冊。川端龍子ヴァージョンが展示されていた。
花とか植物モチーフのチョイスにひねりがあっておもしろい。


●画家たちとの交流

三代目榛原直次郎は画家や文人との関わりが深かったらしい。

河鍋暁斎の福女がかわいい~ぷにぷにのお福さんがいっぱい~
思わず絵はがきをゲッツ。

福女by河鍋暁斎


柴田是真のユーモアの感覚を見直した。
亀が酔っ払って寝てるのとか、涅槃図でお釈迦様を瓢箪にしちゃったのとか、おもしろ~

酔っ払い亀が気持ちよさそう



●交わす、贈る ~美しく可憐な小間紙たち

もらうのもあげるのもうれしい

絵封筒や熨斗袋、ぽち袋がいっぱい。
長方形の中でどう自由に遊ぶかって感じ。
モチーフの選択や切り取り方とか、デザイナー冥利につきるんじゃあないかな~


期待以上によかった~かなり楽しめた。
デジタルが進んでも、紙ものは無くならないし。
近頃では文具や御朱印帳など、むしろ思い入れが強くなってるアイテムもあるし。
和紙に限らずだけど、素敵なデザインは生活に潤いをプラスしてくれるものなんだな~としみじみ感じたのだった。

ちなみに…
以前河鍋暁斎記念美術館を訪れた際に、暁斎デザイン千代紙を購入して部屋に貼っている。
スマホの壁紙にしたりもしてた。
でもよく見たら「いせ辰」製だった!

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