独白

私だって、初めての海外は映画祭がいい。
 あの俳優は、メイキングで放った言葉を現実にした。
 でも私は、もう輝く十代ではないし、モラトリアムなんてとうの昔だ。
 未成年という肩書きを持つ年齢が引き下げられても、この文字の持つ力は偉大だと私は思う。
 分かっているつもりだ。十代だけが、尊いわけじゃないと。分かっているつもりだ。十代だけが、青春じゃないと。
 いつからか、小学校低学年の頃の、誰の間違いをもすぐに訂正する、自信満々な私は、消えてなくなった。
 今では、自分で自分の人権を捨ててしまったんじゃないかと思うぐらい、自信もなければ、金もない。
 それでも、変な自尊心はいつまでも着いてまわっていて、とても厄介だ。
 こんな私にも、夢がある。
 そう、卒業制作の文集に書くような、将来の夢がある。
 埃に油も被って、きっと、ベタベタだけど、いつも、心の底に抱えている。
 だから、クサい台詞も吐くんだ。
 正直に言ったら、馬鹿にされたくない、笑われたくない、そんな最高の夢が私にはあるんだ。
 いつか必ず、叶えてみせる。
 そんな特別な夢が、私にはあるんだ。

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