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私の愛した

 1974年、Londonにいた私のもとに、大学時代の同級生(R.Yさん)から1通の手紙が届きました。日本を出て1年半を過ぎていたので心配してくれたのでしょう。その手紙を開くと返信用切手が入っていたので笑いました。日本の切手ですから、それを使って英国から手紙を出すことはできないからです。でも、彼女の細やかな気持ちが嬉しかったです。
 もう一つ、モミジの葉を使った小さな手作りの栞が入っていて、そこに添えられた言葉の優しさに感動してこの曲が生まれました。運よく当時録音したカセットテープに残っていましたが、最初の2小節は変になっていました。それでも、少しイラストを入れて可愛くして、青春の思い出として残すことにしました。




1.春のひかり 眠気をさそう
  けれど眠るには 時がおしい

  窓を開いて 芽を吹き始めた
  ネコヤナギの木を 眺めているわ

 

2.夏の夕べ 涼しさほしい
  けれど夜明けには まだまだ長い

  机に向かって 手紙を書いても
  名前も知らない 片想いなの

 

3.秋の風は 海へと誘う
  けれど浜辺には 人影もなく

  砂に埋もれた 貝を集めて
  枯葉ににせた 栞を作る

 

4.冬になれば 心も寒い
  けれど隣には 誰もいない

  もしもあなたが そばにいたなら
  私の愛した 秋をあげよう

 

  今はどこかで 一人のあなたに
  栞にくるんだ 秋をあげよう
  私の愛した 秋をあげよう

 


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