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海外で育つ子どもが日本の小学校を体験したら③ 手続き

日本の小学校体験シリーズ、随分間が空いてしまいました。この記事では、体験入学のために必要な手続きについて、私の体験を元に書きます。

海外在住の方のブログやSNSなどで「夏休みに体験入学に行ってきました!」「子どもと一緒に一年間日本に滞在して、子どもも日本の学校に通いました」などよく見かけますが、私達は体験入学をするために実際にどんな手続が必要なのかいまいち全体像が見えず、どの情報が合っているのか分からない状況に何度か陥りました。
当初「まずは一ヶ月日本の学校に通ってみて、本人がもっと通いたいと言えば数ヶ月延長する」という計画だった我が家でしたが、韓国の学校に問い合わせをする度に「なぜ期間が予め決まっていないんですか?」と首を捻られ、ついには担任の先生、教務の方、教頭先生、私達夫婦と関係者が全員一同に会して学則を確認するに至ったことも(汗)。
…というのも、韓国の学校では早期留学などで長期欠席する例があるとはいえ、その期間により提出すべき書類や事前の手続が違っていたのです。

ここでは、そんな最初から知ってれば楽だったよと思った用語や手続きなどを一度整理しておきたいと思います。

ちなみに我が家の場合は今のところ、小2で4ヶ月(夏休みを挟んだので実質3ヶ月)と小3で1ヶ月の体験入学を経験しています。2回とも同じ学校に行ったのですが、期間によって異なることもありました。また、2022年度(コロナ禍の影響があった時期)と2023年度の情報であること、地域・学校・担当の方の見解による違いなどもあり得ることをご了承ください^^


① 日本の学校の手続き

体験入学か転入か
体験入学
という言葉は、凡そ海外で育つ義務教育期間中の日本の子ども(国際結婚家庭も含む)が一時帰国した際に、希望して短期間学校に通うことという意味で使われているようです。一般的には小学校が多いようですが、中学生でも体験入学に行ったという話も聞きます。通常住民票を入れない短期間の滞在であれば本来学校に通う必要はない(学籍もない)ので、学校に通いたい場合には個別に学校と交渉して受け入れてもらうということになります。

手続きの順序
まずは、地域の教育委員会に問い合わせをして、体験入学をしたい旨を伝え、滞在先の住所を伝えてどの小学校の学区になるのかを教えてもらいます。私達が滞在した地域の場合は、「体験入学は個別対応になるので直接小学校に問い合わせてください」とのことでした。
滞在先の学区の小学校に電話をして体験入学をしたい旨を伝えると、校長先生が「あ、体験入学ですね。受け入れますよ」とすんなり受け入れてくださり、その後は、教頭先生や教務の先生などが対応してくださいました。体験入学の形を取るか転入にするかについては、期間などを考慮して希望を伝え、学校にも相談した上で決めました。

体験入学は正式なプログラムとして行われているものではないけれども、慣習的に多くの海外在住の日本人子女が経験しており、私達が滞在した地域では教育委員会の方も学校の先生方もある程度対応に慣れているという印象でした。学校によっては、受け入れはOKだけれど期間が決まっていたり、条件や受け入れ側の温度が個々に違っていることもあるようです。

滞在先に住民票を出した場合は正式な転入生になり、義務教育の対象になります。滞在期間が長い場合は、転校生として学校に通うという選択もありでしょう。その場合は、転入生としての手続きを行い、正式な生徒として教科書の配布やタブレットの貸出しがあり、教育用のアカウントなども発行されることになります(ただし、時間がかかる場合も)。一方、体験入学の形を取る場合でも、必要な教科書やタブレットなどは予備のものを貸出ししてくださるなどの対応が可能でした。

どちらを選択するかは家庭の考え方により異なるかと思いますが、短期間ならば体験入学でも十分対応してくださる一方、正式な記録には残らず学校で入る保険などには入れません。公的な証明が必要だったり、短期でも学籍を持って通った方が良いと判断した場合、或いは比較的長期の滞在となる場合などは正式に転入手続きをすることになるかと思います。

② 韓国の学校の手続き

韓国の学校から行く場合限定の話になりますが、どの時期に体験入学に行くのか、どれぐらいの期間行くのかによって、韓国の学校の手続きをどうするかが異なってきます。
韓国の学校は、出席認定をしてくれる体験学習という制度があること、定められた欠席日数を超過すると小学生であっても留年になること、長期欠席の場合、事前手続きをすることで留年を回避できることがポイントになってきます。

韓国の学校の長期休暇(冬休み)を利用する
まず前提として、韓国の小学校の長期休みの時期は、学校によって、また年度によっても多少異なるという点があります。夏休み期間は、概ね日本の学校と時期が重なることが多いですが、冬休みは1月,2月がほぼ休みになることも。このため、冬休みに体験入学を検討している場合は、タイミングが合えば韓国の学校は休まずに行けることになります。この場合は、韓国側の手続きはいりません。
ちなみに息子の学校では毎年保護者へのアンケートを行って休みの時期が決まります。「どうして学校によって休みの時期も違うし、毎年スケジュールが違うんだろう?」とママ友と話したことがありますが、「ある程度はこっちの希望も反映されるし、授業日数は守ってるからじゃない?」とのこと。柔軟といえば柔軟ですよね^^;

体験学習&未認定欠席
韓国の学校がある時期に日本の学校での体験を考えている間は、韓国の学校を欠席することになります。その場合、短期間であれば体験入学の制度を利用し、決まった日数を超える場合には未認定欠席ということになります。

体験学習とは、学校を欠席したとしても有意義な経験をしているのであれば、事前に申請し、事後に報告書を出すことで出席として認定してくれる制度です。上限日数、連続して休める日数が決まっているので、事前に学校側に確認しておく必要があります。(コロナ禍では体験学習として認定される日数が長かったのですが、その後短くなるなど変動がありました)

体験学習の日数を超える場合は欠席となりますが、欠席日数が全授業日数の3分の1を超えると小学生であっても留年となるため、注意が必要です(2022年度の学則によります)。学校を欠席する場合欠席届を提出するのですが、そこに理由を選択する箇所があり、体験学習の期間超過、海外語学学習などの場合は未認定という項目に当てはまります。

韓国の学校の学期中に日本に行く場合には、この体験学習と未認定欠席を組み合わせることになります。担任の先生と連絡を取り、申請書や報告書の提出時期や形態など確認しておくことが重要です。

我が家の場合は、夏からの数ヶ月を予定していたので、4月の個人面談の際に体験入学の計画があることを話しておき、時期が近づいてきたら必要な書類などを再確認しました。期間や時期、学習のことなどについても先生にもある程度相談して最終的に決定しました。一般の韓国の生徒でも体験学習を利用して海外のサマースクールに行ったり、旅行に行ったりすることも珍しくないので、一ヶ月程度ならば先生も対応に慣れている印象でした。

猶予申請
欠席期間が全授業数の3分の1を超える、6ヶ月以上現地の学校に正式に通う、親が同伴する、止むを得ない事情がある(親の駐在についていくなど)などの条件を満たす場合は、韓国の学校に猶予申請と言われるものを事前に行います。
そうすると、例えば数年単位で長期間海外の学校に通っていた際にも、帰国時に年齢相応の学年に戻ることができます。親の駐在同伴以外に、いわゆる早期留学で現地校に通う場合(語学学校や子どものみは認められない)、このパターンになるようです。

日本で学校に通う場合にも、6ヶ月以上の長期になる場合にはこの猶予申請に当てはまると説明を受けましたが、我が家は期間が該当せず。体験入学+未認定欠席のパターンで行くことになりました。

あたふた
このように、期間によって事前の手続きが異なるため、我が家のようにプランAとプランBがあり「数ヶ月を予定しているが、場合によっては期間が変わるかもしれません」というのは、学校側としても対応したことのないケースだったようです。
そのためか、問い合わせをする度に、担任の先生、教務の先生で言うことが違っていたり、経験の多い先生が出てきてこれまた違う情報を教えてくれたり、また別の人にそうではないと言われたり、なかなかの混乱がありました。結局担当の方と私達夫婦とで学則を確認することになり、上に書いたような全体像がわかったわけです。(この時、外国人の私だけでは手に負えなくなり、引っ張り出した夫が結構頼もしかったです。やはり合意形成をちゃんとしておいて良かった…!)

学校の人以外には、韓国の小学校教師をしているママ友情報、体験入学をした人のブログ情報、韓国から日本へ体験入学をした知人の体験談などがありましたが、それぞれの立ち位置や考え方によって、アドバイスも様々。とても助かる反面、自分たちの方針が決まっていないと混乱することも。

ただ、方針を決めるといっても、ある程度情報がないと判断できないですよね。

…というわけで、ここに書き記したことが、体験入学を考えている方のお役に立てば幸いです。

次の記事から、ようやく実際の体験入学の振り返りに入ります。


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