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娘の結婚まで・・・余波 久々の発熱 1・・・(エクソシストの悪魔の声)

娘のカレと初対面の緊張から解放され、気が緩んだためと思える事がございましてね・・・

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体調がすぐれない日は時々あるが、風邪気味だと思って熱を測ってもせいぜい微熱で、寝込むほどではない。インフルエンザは2013年に夫婦で罹ったきりである。毎年予防接種もしない(接種した年はなぜか罹患する)ので、毎年そろそろかなと思うが、罹らない。

春の初め、時期外れのインフルエンザが流行ったが、やはり無関係だった。

5月の連休前後は、娘のことやあれやこれやで忙しく、とうとう山菜は
「来た人に振舞ってオシマイ」
だった。私は一度しか出かけていないという堕落。

あれやこれやが落ち着いた日曜日に、夫がウルイ(オオバギボウシ)を採ってきて、それが野菜代わりである。適期だったようで、非常にきれいなウルイである。


    

ウルイ (オオバキボウシ)


これは癖がなく、非常に美味しい。ザクザク切って、きのこや、豚肉、厚揚げと甘みそ味で炒め煮にするのが夫の大好物である。
ウルイは庭にもある。そのほか、ギョウジャニンニク、タラ、わさびもあるが、なぜか採取して食べたことはなく、少しずつ増えるのを楽しみにしている。

やはり山へ出かけて行って採るのが一番である。
「こういうのを食べているから、なんだかんだ言って元気なのよ」
なんて話し合っていた。

が、その時の沢歩きで体を冷やしたのか、夫が咳と鼻づまりを訴え始めた。花粉症の季節も終わったのに、大変つらそうである。
いつもなら言うことを聞かない男が、病院に行った。
アレルゲンを調べてもらったら、見事なまで
「該当なし」
ひとつもない。
ハウスダスト、ダニなんてのもない。

「やっぱりね無菌状態だと体が弱るのよ」
と、掃除をサボる言い訳にもできるってもんだ。
冗談さておき、大人しく薬を飲んでいるがはかばかしくない。
が、熱も出ないのでだらだらと仕事に行くのが気の毒だった。

私はその数日後に薄っすらと喉の痛みを覚えた。
チク
ではなく
「摺り傷みたいな」
ひりつくまで行かないが、そういう痛さである。翌日になると、声変わりしていた。
「おはよう」
が、地獄の釜の蓋が開いて、ドロドロと出てきた男の恨みがましいダミ声であった。

「私の美声が」
とその男声で言う。
夫は甚だ残念と言った顔をしている。

私は
「こういう時、変なのが来たら、この声だけで撃退できる」
などと言い、ウヒャヒャと笑っていた。

更に翌日、声はますます低くなった。
夕方から、ぞくぞくする。なんだか、腰のあたりがだるい。

熱を測ると36.8度。

私の平熱は36度前後の低体温なので、この時点で
「熱がある」
状態なのだが、この辺りから37度あたりが一番気分が悪い。風邪薬を飲んで早々に休む。

で、一夜明けてさらに熱が出た。
37.4度。
朝なのに。

「病院行けよ」
で、行った。経過を聞いた医者は、インフルではないでしょうと言う。
抗生剤と炎症止めが出た。
アレコレ心配なので、食材は確保しておこうとスーパーに寄ると、友人とばったり会った。彼女とは10日前にも会ったが、私の声を聴いて
「今頃風邪ひいたの!!」
と笑っていた。
この場合、笑われた方がいいのである。
「そうなのよ、それでもご飯の支度が気になるからこうして」
「どこもおんなじだね」
言いつつ友人は、私の発する声にギョッとしている。

「エクソシストの悪魔の声」
と言われ、得心した。まさにそういう声である。
なかなか得られない声だ。
私は友人の的確な指摘に、悪魔の声で笑った。

家に戻る。言われた通り薬を飲んだ。朝はお茶だけだったのでお腹が空いている。ご飯が適量残っている。
棚を見るとレトルトカレーがあり、私はそれをガッツリ食べた。そして、片付けて歯を磨いてベッドに入った。
食欲はばっちりで体も温まったはずだが、なんだか寒気がしている。
夫が帰宅した時には、37.8度になっていた。

夫は私がダウンすると、なぜか鰻を買ってくる。精をつけろという、男の考えなのだが、
「食えるか?」
「いただきますとも」
私は嬉しがって鰻を食べた。

夫は仕事の打ち合わせがあり、夜になってから少しの間出かけた。私は風呂にも入り、髪も洗い、ヘアアイロンで整えて、またベッドに入った。
その時は

   

発熱


久々のちゃんとした発熱である。
「おお!!」
この場合、私は幼児と同じでテンションが上がるのが常である。なんだかワタワタして、さてどうしようと思うが、あいにく節々が痛くて
「やっぱりインフルかもしれぬ」
と検査もしなかった医者を恨む。

友人も
「今はB型流行ってるってよ」
なんて言っていた。
インフルならインフルで仕方がない。が、夜間救急に行き、煩わせることもしたくないし、出かけたくもない。

「久々の熱にこの身がどう反応するか、とくと体感しようではないか」

これも熱のせいである。
夫が帰宅したので、
「熱あがったー」
と報告すると、彼とて疲れているのにポカリスエットを渡してくれた。起きていてもしょうがないので、しおしおとベッドに入る。

悪寒まで行かぬが、寒気がする。
「よしよし、熱が上がるところだな、熱により体内のばい菌が死滅するがよい」

私はエクソシストの悪魔の声でぐふぐふと笑うのであった。
これもまた熱のせいである、多分。

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