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下町の御隠居さん

高齢者の一人暮らしである、いや老猫と二人暮らしか。いわゆる下町の独居老人、マスコミのおかげで孤独死や貧困イメージが浸透しているが、そのような人ばかりでは無い。自由気ままに余生を楽しむ人々が、案外多いのである。

高齢になれば都会暮らしをやめ、のんびり田舎暮らしが適当と思われがちだが、都会の便利さを享受して来た昭和人に、田舎暮らしが出来る訳もない。

徒歩圏内に病院からスーパー、銀行など生活に必要なものが揃っている。

定年退職を機に、実家に帰る人、移住する人、娘息子と同居する人、様々な人々が居るが、浮浪雲のように流れる一人暮らしが一番快適である。

起床は午前5時、寝床に猫が起こしにやって来る。ゆっくりとコーヒーを煎れ、

パンと目玉焼き、猫と共に朝食を取る。ラジオから流れる音楽を聴きながら、

さて、今日は何をしようか考える。時間だけはタップリあり、何をするのも自由である。妻を亡くし遺品整理や断捨離も済ませ、過去の思い出も、愛した品々も、自分の履歴も、宝のように集めた夢も、余生に必要なものだけを残し、全て処分した。

欲と執着から逃れれば身軽になる。生まれて来るのもひとり、死んでゆくのもひとりだ。気をつける事はただひとつ、フレイルにならない事だ。

※フレイルとは「加齢により心身が老衰えた状態」

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