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コペンヒルに行ってきた

先日、BWSCのうっちーに誘われて、アマーバッケ(Amager Bakke)に行ってきた。アマーバッケを知らなくても、コペンヒル(CopenHill)と言ったら、知っている人も1割ぐらいは出てくるかもしれない。スキースロープが併設されている廃棄物処理場といったらどうだろうか。2023年1月14日からドキュメンタリー映画『コペンハーゲンに山を』が渋谷のシアターフォーラムで上映されていて、それを見て知った日本の人も多いかもしれない。監督のオープニングトークなどもあったようだし、我らが北村朋子さんもトークイベントに登壇されていて、勝手に親近感を感じている。デンマーク居住者は、地域図書館のIDとPWDで、このサイトから閲覧できる(Yukikoさん情報ありがとう)。

一台だけれどリフトもある

コペンヒルとARC

コペンヒルは、デンマークの首都コペンハーゲンの端に立地している廃棄物処理・発電プラントARCに併設されているスキースロープだ。2019年にオープンしていて、コロナ禍に家族で何度か遊びに行った。コロナ禍には、デンマーク政府がなるべく外に出ましょう。でもあまり人が集まらない場所に行って欲しいから自然に触れるのはどう?というキャンペーンをしていたのだが、その時にふと思い立って行ってみた。駐車場から頂上までは、階段を登っていくのだが15分ぐらいで到着する。頂上からの景色が美しく、眼下には海やプラントや風力発電機が美しく並んでおり、少し遠くには、コペンハーゲン市内の街並みや尖塔、王宮のタワーが見えたりする。思いの他人はいなくて、頂上からの景色は雄大で、そしてカフェは開いていたので、景色を見ながら美味しいコーヒーも飲んだりした。

この美しい建築は廃棄物処理・発電プラントである

今回、BWSCがアレンジしてくれた大人の社会科見学は、誰でも気軽に行けるコペンヒルエリアではなく、内側のプラントの方だ。

プラント見学

プラント見学は、2時間コース。セキュリティの厳しい建物に入り、ミーティングスペースに案内された。

初めはレクチャー

まず、CEOの方から、概略や経緯を伺う。デンマークの再生可能エネルギーの話、現在の潮流などざっくりとマクロな話を聞きつつ、デンマークがいかに戦略的に「うまくやっているか」が端々から見えてきて面白い。

同時に、先日訪問したストックホルムの熱供給・発電施設は、地域冷・暖房に取り組んでいたし、カーボンキャプチャーも実証からリアルプロジェクトに移行していたことを考えると、とても先端だということもわかった。コペンハーゲンARCは、今、カーボンキャプチャーの実証実験施設を建設している。

廃棄物処理場ということで、ARCはごみ収集によって収益を得ている(コペンハーゲン市が支払い元)。そしてその収益源でもあるゴミを使って、コペンハーゲンの地域暖房に熱供給をすることで、さらに収益を上げているのだそうだ。1つで2度美味しい。

日本に1年間住んでいたそうで、日本語で挨拶してくれた

プラント見学に出発

プラントの中は、想像以上に綺麗で清潔だ。時折人が歩いているが、その数は、現代最新プラントを代表するようにとてつもなく少ない。廃棄物処理場であるけれども、匂いもほぼしないし、たまに匂ってきてもそれほど気にならない。うちの犬のうんちの方が臭い。

美しいプラント内部。所々にBWSCのサインが。

イケメンの案内の方もついてくださって、懇切丁寧に説明くださる。我々はイアホンを装着しているので、ちょっと場所が離れていても、説明をきちんと聞くことができる。訪問者がたくさんいるのだろうが、見学者へのサービスが、とてもよく整備されている。

大きなプラントの中の鍵となるエリアを一つづつ説明してくれる

ゴミが到着するエリアは、驚くほど匂いがしない。換気や清掃にも気を配っているのだそうだ。そして、6箇所ほどある搬入口には、見慣れたゴミ収集車が次々にゴミを搬入してくる。

整然としたゴミ資源搬入エリア

コントロールルームでは、一人がゴミの搬入プロセスを見守り、監督している。とても暖かく静かな部屋でひとりで大量のゴミをチェックするこのシュールな仕事。具体的な話は聞けなかったけれども、訪問客も多いのだろう、我々が入れ替わり立ち代わり見学している間も、黙々となんやら仕事をしていた。

搬入されたゴミを見守る

今回の訪問は、BWSCが廃棄物処理・発電プラントの建設に関わっていたことで実現した。こんな珍しい機会を得ることができて、うっちーには本当感謝だ。概略をプレゼンしてくれたCEOも、案内をしてくれた技術者・渉外の方達もありがとうございました。コペンハーゲンに住んでいる利点で、すでに何度かコペンヒルには行ったことがあったのだが、中のプラントは見学できたことはなかった。気分は、最高である。

注目は、スキー場だけではないはず…

映画にも示されていたように、BIGのコンセプトは常軌を逸しているというかとてもイノベーティブで…、資源高の世界情勢も影響して、建設に関わったエンジニアリング企業は、かなりの赤字だったらしい。今でこそ、運用においては採算も取れているらしく、また、メディアに取り上げられもてはやされている場所ではある。けれども、出来上がるまでの地道な苦労はあまり注目されていない。きちんと機能している廃棄物処理・発電プラントがあってのコペンヒルであるが、廃棄物処理・発電プラント自体は陰の存在なのがちょっと切ない。

とてもわかりやすくて(デンマーク語だけど)、感銘を受けたポスターの一つ。
「煙をどう洗浄して大気に排出しているか」

今回の訪問で考えさせられたことがいくつかある。環境配慮とデンマークの国家戦略は親和性が高いということ、そして歴史的な蓄積によってデンマークは現在優位性を存分に享受していること、そして、廃棄物処理・発電プラントの見学経験UXで体現されていたスマートシティに不可欠な市民の参加を促す仕組みなどだ。これらについては、また改めて記したいと思う。

天国への道を思わせる…コペンヒルの階段


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