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世界一サステナブルな都市エリア:スマートシティ・ハマビュ・シュスタッド(Hammarby Sjöstad)

世界で最も環境に優しいサステナブルな都市エリアといわれるようになったハマビュ・シュスタッド(Hammarby Sjöstad)は、かつて工場エリアだった。先見の明があった建築家Jan Inghe-Hagstromが80年代に提案したストックホルム再開発計画はしばらく注目されてこなかったが、ストックホルムが2004年オリンピックのホスト国を目指した際に一気に注目を浴びることになったのだという。

オリンピックの開催都市として名乗りを上げたストックホルムは、その目玉の一つにハマビュ・シュスタッド・選手村を組み入れた。ストックホルム市は、ストックホルムの澄んだ大気と自然にあふれる環境は、アスリートたちが最高のパフォーマンスを繰り広げるために最高の場であり、その体現としてのハマビュ・シュスタッド・選手村計画をぶち上げたのだ。ストックホルム中心エリアからも程近く、海に面し、自然が広がるエリアは、最高のオリンピックヴィレッジになると提案したのだ。

残念ながら、オリンピックの開催国はギリシャに決定し、オリンピック村として使われることはなかった。しかしながら、この自然あふれる住宅エリアの開発計画はそのまま進行し、今では大人気の住宅エリアとなっている。

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現在は、ハマビュ湖の両岸が再開発されており、所々で今も工事が継続中であることが見て取れる。

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ハマビュの水辺のエリアは開放感がたまらなく、水辺を楽しむウッドデッキもデザイン性高く、美しい。おそらく10年ほど経過しているこのウッドデッキも、経年劣化を感じさせない美しい佇まいだった。

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水辺はぐるっと回れるようにウッドデッキがひかれていて、ランニングをする人や談笑しながらお散歩する人、ベビーカーを引く人などがひっきりなしに通る。水辺の住宅には、プライベートボートやカヌーの乗り場も併設されていて、水辺を日常の一部として楽しんでいることがわかる。

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北欧のまちづくりに欠かせない公共ベンチもあちこちに設置されており、それは水辺も変わらず街の一部として認識されていることがわかる。

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水辺と住宅エリアの間に敷設された遊歩道は、我々のようなよそものでも誰でもお散歩することができる。結構長い遊歩道で、子供たちは途中で辟易していたが、そのあたりで見つけた電動スクータに乗り、押して(課金しなかったので動かない)一緒に散歩した。

水辺かつ多種多様な人々が通れる遊歩道ではあるけれども、家の中は簡単には覗けない工夫がされており、茂みや緑葉樹がセンス良く植えられている。この点は、コペンハーゲンのまちづくりとはちょっと意識が異なるなと思わされた。なにしろコペンハーゲンは、透明性が高すぎて中の人が丸見えな住宅も多く、一歩行者の私が恥ずかしくなる。

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環境が良いのだろう、カモメもあちこちに生息しているようだ。近づいても恐れないカモメはきっと人間に大切にされているんだろうと思う。

ストックホルム中心地から電車で10分ほど。道路はもちろんだが、電車・バス・自転車道路などがあり、自転車道路では何人も電動ボードで走っていた。かなり広大な住宅街の中でも、とても静かで、きれいな空気が漂うエリアだ。

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水上バスでハマビュ・シュスタッドを離れた。「チケットないんだけれど」とバスの車掌に言ったら、オンサイトで「アプリをダウンロードして支払え」といわれた。スウェーデンではもはや現金は受け取ってくれない(そして持ち合わせもなかったが)。指定のSJアプリをダウンロードし、カードを登録し支払いを済ませた。使い方も簡単、ユーザビリティも行き届いていて、非常に便利だ。

遠ざかっていくハマビュ・シュスタッドを見ながら、その澄んだ空気と整った街並みとこの移動体験を思い返していた。なんであんなに静かなのか。もちろん、夏休み中だからと言うこともあるだろうが、不必要な街の雑音が全くなかったからなのかも知れない。人はたくさんいたし、普通に会話している人もたくさんいる。電車も静かに走っていたし、電動スクータがめちゃくちゃ多かったが、電気なので余計な音がなくてとても静かだ。

半日のお散歩だったが、ここはまさに北欧のスマートな街を体現していたと思う。こんな面にテックは出てこないけれども確実に街を支えてちょっとした行動を楽にしてくれる。こんな街が、私の理想とするスマートシティだ。

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