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あなたの知らない千と千尋

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宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』。2001年の公開から20年を経た今も、多くの人を魅了し続けています。何故、これほどまでに人気があるのか。その背景には -アニミズム- が醸す…
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2024年7月の記事一覧

あなたの知らない千と千尋 第8回「トンネルの向こうの不思議の街」

テーマパークの残骸だと思っていた街は、驚くことにすべて食べ物屋だった。ガラーンとした食堂街の一角から、何やらいい匂いが漂ってくる。その匂いに連れられ父と母は誰もいない食堂ののれんをくぐり、勝手に食べ始める。両親の思いもよらない行動に、千尋ははっきりと嫌悪感を示す。大人の父母より、子どもの千尋の方がよっぽど常識的だ。母は「人が来たらお金を払えばいいんだから」と言い、父は「カードも財布も持っているから俺に任せておけ」という。このあたりのセリフは宮崎監督のメッセージに聞こえる。