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尿酸値の低さが腎機能の急速な低下リスクと関連――日本人の健診データの解析

尿酸値が基準範囲内であっても低値の場合は、腎機能が急速に低下するリスクが高いという関連を示すデータが報告された。ただし、高齢者ではこの関連が見られないという。帝京大学ちば総合医療センター腎臓内科の寺脇博之氏らの研究によるもので、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に2月11日掲載された。

Health dayより引用


高尿酸血症


尿酸値が高すぎる状態「高尿酸血症」は、痛風だけでなく腎機能低下のリスクとなる。しかし、それとは反対に尿酸値が低いことの腎機能への影響はよく分かっていない。尿酸には強力な抗酸化作用があるため、理論的には、尿酸値が低いことも腎機能低下リスクとなる可能性も考えられるが、そのような視点での研究報告は少ない。そこで寺脇氏らは、健診受診者のビッグデータを用いてこの点に関する検討を行った。

しかし、逆に尿酸値が低い場合の腎機能への影響については、まだよく分かっていません。尿酸には強力な抗酸化作用があるため、尿酸値が低いと腎機能低下のリスクが高くなる可能性があると考えられますが、そのような研究は少ないようです。

そこで、寺脇氏らは、健診センターに通っている人たちのビッグデータを使って、尿酸値が低い人たちの腎機能低下のリスクについて調べました。対象者は1万547人で、平均年齢は53歳でした。その結果、尿酸値が低い人ほど、急速な腎機能低下のリスクが高いことがわかりました。特に、尿酸値が4.0〜4.9mg/dLの人たちが最もリスクが低かったという結果が出ました。

研究者たちは、これらの結果から、特に若年から中年の成人において、基準範囲内で低レベルの尿酸値が腎機能の急速な低下のリスクと独立して関連していることが示された、と結論づけています。

なお、この研究にはいくつかの限界があります。例えば、対象が健診受診者であるため、健康リテラシーの高い集団と考えられることなどです。しかし、尿酸値が腎機能に与える影響について、新たな知見が得られたということは、とても重要なことです。

尿酸値が低い人たちほど腎機能の急速な低下のリスクが高いということです。また、特に尿酸値が4.0〜4.9mg/dLの人たちは、急速な腎機能低下のリスクが最も低いことがわかりました。これらの結果から、尿酸値が腎機能に与える影響は、以前よりもより詳しく理解されるようになると期待されます。また、今後の研究で、尿酸値と腎機能低下の関連性をより深く掘り下げていくことが望まれます。

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