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Happierインタビュー やさしさとアクティビズム 齊藤ゆかさん#2


哲学や心理学を学び始めた際「私は、私は、私は」という“問い”を突き詰めた先に確実で不変である「これが私だ!」という答えに辿り着けると思っていたが、突き詰めれば突き詰めるほど「私」がどこにもいない、その時々によって全然違うということに気付いてきた。どの時の私も私。でもこれでは私という不変なものにならないのではないか、という思いに変化した。心理学・哲学の学びに助けをいただいて「不変はない」=「いつも変化している」ことに気が付き、その時々の“関係性”によって自分というものは変わるモノだと知った。その結果、いまの社会の在り方や世界がどんな状態にあるかについて「自分ごと」としてとても密接に感じ始め、興味の対象も「個人の癒し」から「社会・世界の癒し」へと変化していった。薬剤師として個人を癒すことから、地球や社会の癒し手となることへシフトしていきました。

異文化に暮らして思うこと・アジアンヘイトについて

いま、自分がバークリーに住んでいることに大きな意味を感じています。異なる文化に身を置き、多様な価値観のなかに暮らすことで、社会のこと・今まで知らなかったこと・日本に居たら気付かなかったことに否が応でも気付いてしまうから。社会的マイノリティーとして生きるということを肌で理解することが出来るようになった。アメリカに暮らすことはラッキーな経験も多いけれど、アンチアジアンクライムなどほぼ全員が経験し、ネイティブではない言語のことを日々意識せざるを得ない状況によく気付くようになった。自分のなかの思い込みが変化し、人を信じられるかどうか(ポジティブな意味も含め)、世界は同じではなく違っているということが分かってきた。自分が自分で居ることでヘイトされる、という社会に住んでいることは、逆にいうと、既成概念に囚われず柔軟な発想で対応することを学んでいる気がしています。この経験を通して、改めてコミュニティー(町内会)の力を再認識している。町内会は実際行き来することのできる関係性で、助け合うことが出来るのが素晴らしいと感じています。

ライフワークについて、アフターコロナ時代のやさしさとアクティビズム

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薬剤師としての“個人の癒し”から、“地球と社会の癒し”へシフトしています。傷ついた関係性に気付き、ケアをしていく人になりたい。師と仰ぐジョアンナ・メイシーさんから学んだPeople who Careを実践していきたい。これからのアクティビズムとは、熱い「想い」と他者や社会に対するやさしさの「実践」を両輪として行動する人として捉えている。それは、自分を犠牲にしたり、社会の枠組みと戦ったりするだけのアクティビストではない。この人を大事だ、海の生物を大事にしたい、そんなやさしさと思いやりのための行動を選択するアクティビスト達。日本にも情熱的に思いやりをもって行動する人たちがたくさんいるけど、日本社会全体としてまだまだそういう人たちの行動や想いに注目されていない気がする。「アクティビスト」という概念の捉え方の違いが日米で非常に大きいことを感じているのと同時に、肩のちからを抜いた、素敵なアクティビスト達が日本にもたくさんいることをもっと沢山の人たちに知ってもらいたいです。


*注5:ジョアンナ・メイシー(Joanna Macy)について
著述家・教師/仏教研究者、システム理論研究者、ディープエコロジー研究者。60年間に及ぶ活動家としての経験で培われた学びと学術的知識を相互に織り交ぜ、平和運動、社会正義運動、エコロジー運動の分野で尊敬を集めるインフルエンサー。
『カミング・バック・トゥ・ライフー生命への回帰』公式サイト (activehope.jp)


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