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得意なものとはなんだ? 梗概 感想


 SF創作講座第3回梗概の感想を書いた。まず感想会に参加された順番で、それから講座のアイコンの表示順に感想をあげる。今回も全てを講座前に読みきれなかった。感想が引っ張られないように一度忘れて読んでまとめてみた。面白かったものは◉


方野さん 妖精の舞う海

 ダルラジで指摘されていたように、梗概の書き出しが読みやすかった。毎回、設定を丁寧に作られていて、登場人物の心情も掴みやすい。ニンフの特徴とは何か。なぜ人間に擬態したのか? 自然物の化身とあるので、人間以外のものにも擬態しているはずだが、他にはどんな種類があるのか。 エウレカを思いだした。


去場さん 星を飲む、手のひらの中の宇宙で

 イメージが綺麗。茶道と宇宙をつなげる発想が面白い。映里の存在がよくわからない。中盤で出会った映里とは交流できているように読めるが、終盤では記憶の残滓とされている。映里とは記憶にしかすぎない存在なのか。また、三条はどうやってハナダを滅ぼした(抹星にした)のか。物語の展開が後半に入って情報が少ない気がした。


本所さん 仮想空間のまみむめも

 数行で世界観の説明、のち登場人物の説明から物語へという流れで、読みやすかった。「うひょー」や「このおっさんは私だよ」と台詞が面白い。茂とは何者か。新しい技術への抵抗感とか、知識教養、感情移入が茂の中でどう繋がっているのか。 茂は一体どんな人生を歩んで今に至るのか、そしてマミと交流してどう変化したのか、最終的に茂は何を選択するのか気になる。


近田さん ループ・カップル・スパイラル

 一読ではよくわからなかった。ラブストーリーと見せかけて、実はループお仕事小説といった展開となっていて、上手く場面を切り替えられたら面白そう。


岸田さん 沈黙するので羊たちから饒舌だね

 ◉ 楽しく読めた。言語的な設定は興味深かったです。言語障害の復元という治療は、実際に存在するのか。それとも岸田さんのオリジナルなのか。何か発想のきっかけとか参考にした本があったら教えて欲しい。


オチノニトさん サチとタエは荒野を目指す

 一読ではわからなかった。友人だと思っていた妙が、実は拡張現実で、かつ自分の祖母であったというのは面白い。祖父の妙への愛が、妙と町への執着へと結びついていったのか。製薬会社の存在がなぞのままだったので、具体的に知りたい。


中野さん ふれる

 感覚シリーズで、まさに得意なことを書いている。国名が漢字で、華青という伝統的な素材の設定から中華風な世界観をイメージした。登場人物がカタカナだったので、西洋風なイメージも感じもした。サエラはシンの恋人で、イライを紹介をする役回りもする重要な人物。だが、中盤からシンとイライの話が中心になっていて、サエラの存在が希薄に感じた。


夢想さん 黒い薬罐

 梗概というよりはショートショートになっている。占い師が渡した薬罐によって…という展開は面白かった。森見さんの芳蓮堂ものや、坊ちゃん大賞の羽釜の作品を思い出した。


牧野さん 新代田から

 一読ではわからなかった。モクの「マーシーの喪主になりたい」という言葉は、愛情表現と同時にプロポーズでもあると思う。モクのキャラクターと感情を簡潔に表している。


吉羽さん ストラディヴァリウスの墓守

 一読ではわからなかった。タイトルはかっこいい。ゴシックホラーな雰囲気。バイオリンのイメージが強いが、梗概では話の中心にバイオリン自体が出ていない。バイオリンに対して複雑な気持ちを持っていたニコラなら、部屋にバイオリンがあるだけで落ち着かないのでは。


邸さん ぺりぺりぺりぺり

 タイトルがおかしい一方で梗概はエモい感じに仕上げていて、面白かった。ピューラーの仕事が具体的にどう描かれるのか楽しみ。辻の行為は本当に玉牧にポジティブな影響を与えるのか疑問だった。


田場さん 江戸幕府 VS 米人間

 ◉ 面白かった。歴史的人物が魅力的。流行りも捉えて強い。


岡嶋さん 僕らの休眠預時間活用法

 読みやすい。設定の説明なしに進んでもいいものなんだなと。 


今野さん 中国語読んだだけなのに 

 ◉「あいつか!」から最後に至る展開がわからなかった。漢詩とSFが合わさっていて、面白そう。


六角さん 逆回し死刑執行人

 おもしろそう。時間遡行ものは読んだことがなかったので、カルペンティエール、マーティン・エイミスを読んでみたい。

 

あいださん 女神の死を待つ女

 おもしろかった。巨神の女神とは一体どんなものなのか。女神は選ばれれば誰でもなれるものなのか。世界観がよくわからなかった。女神というより生贄や人柱的なもののようにも感じた。


フジキさん サフィール踊り子殺人事件

 よくわからなかった。「占い」アプリと「運命」の組み合わせはおもしろそう。サフィールが一体何か最後までわからなかった。観光列車の名前だったか。


原さん 神とわたしの一年間

 おもしろかった。生き神だとして、どんな性格(神格?)を持っているのか。何かいいことが起こったりするのだろうか。


長谷川さん 量かれない<親|子>のパラドックス

 おもしろかった。ただ子供と父親が合体するという展開は、子供を救うことになるのだろうか? 父親の限界なのだろうか。


駆乱さん 皆殺しの雪

 雪のイメージと退廃していく地域の雰囲気が合わさっていていい。ただタイトルのパワーワードと繊細な内容がうまく噛み合ってない気がする。


岸辺さん サンアイ・イソバ

 他にも巨人ものがあった。老女とは何者なのか気になる。異なる種同士が理解しあうのが不可能なら、どうしてアブの子供は今の子供たちとともに暮らす必要があるのか。アブが島を守るための楔なのか。読んでみたい。 沖縄ものでいくのか。


西村さん これは銃です

 少女が光を操作できる情報体として、転生できる存在という設定は面白そう。なぜ犯罪を行なったのか知りたい。事件の関連性よりも銃にアクセスしたかったのだろうか。


方梨さん 魔術師の無間の夢

  無間機関が発明されたことで世界はどう変わったのかよくわからなかった。登場人物の設定が活かされると面白くなりそう。


根岸さん 星のささやき

 梗概が読みやすい。世界観がよく分かる。指文字での会話は、ソフィアは何か喋れない理由があるのだろうか。ソフィアの曲に含まれた暗号とは何か。


園田さん 新曲と遊び

 面白かった。謎解きとオカルトの合わせ技で、緩急のある展開が作れそう。


西岡さん 国葬

 よくわからなかった。結局主人公の軍人は何もしてないのでは。


ささきさん 魔法のタペストリー殺人事件

 面白かった。母が死んでいるのになぜ母がいるのがよくわからなかったが。しかし、母の友人が、昔の母だと認識しているからには、昔の母としての外面があったのだろうか? ミステリー系が得意?


識名さん 事故調査レポート:甲斐国始末記

 かっこいい。得意なことというテーマにしっかり答えている。梗概もうまい。実在の人物・モチーフを使って物語を考えることも必要だ。


かわのさん 第三水底劇場、さいごの一日

 詩的な作品。水中世界の衰退、今後の展望を描けない主人公の状況は、今の社会を描いているようで雰囲気がいい。


宿禰さん 終の住処

 面白かった。原田に色々と注文をつける水谷が痛々しい。水谷が終末を迎えるときの、周囲の対応が冷たいのがリアルだ。


山森さん 生命の霧を編む

 ◉ 面白かった。神の奉納品「薄霧」は一体どんな編み物なのか。ズヴァンニと、レイザが接触する要因がうまい。


継名さん 「つい殺ってしまう」体験の作り方

 読みやすかった。蚕はなぜ幽霊との対話データが欲しかったのだろうか。タイトルと内容がうまく合わさってない気がする。


馬屋さん 複製の君

 設定が面白い。予備の複製として記憶を受け継いだ王が、若王とどう戦うのか気になる。


和崎さん 二度とはなれないダイアモンド

 鉱物化を防ぐ方法というのは? なくてもラストには関係ない気がする。


矢野さん 忠臣蔵エイリアン

 面白い。地球外生命体がどういう思惑で江戸時代に降り立ったのか。


まとめ

 講師陣が言っていたように梗概の完成度が高い。物語をしっかり作っているし、梗概が読みやすい。今回の自分が提出した梗概は、物語がなかった。選出されるためにはどうしたらいいか。実際の歴史やモチーフを使って、物語に厚みを出している梗概が面白かった。次回の梗概では参考にしたい。誰かに読んでもらって、内容が整理されているように思う。やっつけで考えて提出するのではなく、早め早めに仕上げて誰かに読んでもらえるように計画的に書いていく。 自分の好きなものや得意なもので固めていった方が良さそう。










良かったら応援よろしくお願いします。たくさん書くと思います。