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きっと未来につながる、ライブストリーミングの活況(1)

新型コロナウィルスの影響で、国内外の劇場が閉鎖している。コンサートへ行けない聴衆へのサービスとして、海外の劇場やレコード会社のいくつかが、無料でライブストリーミングを流したり、オンデマンドの動画アーカイブを公開している。

3月の中頃、バイオリン奏者のコパチンスカヤのFacebookで、ベルリン・フィルが無料でコンテンツを公開していることを知った。3月末までに登録すれば、1ヶ月間無料でデジタル・コンサートホールのコンテンツが見れるという。ベルリン・フィルに特別興味があったわけではないが、どんなものをやっているのか、どんな風にやっているのか見てみようと思い、すぐに登録した。
(現在、締め切り期限なしで1ヶ月間無料視聴の登録を受け付けている。日本語のガイドあり)
ベルリン・フィル:デジタル・コンサートホール
https://www.digitalconcerthall.com/ja/news

最近のオーケストラ公演や過去のシーズンのコンテンツなどあって、少しずつ見てみた。ナビゲーションや画像の質など良好で、快適に鑑賞できそうだった。また驚いたことに、サイトは完全に日本語化されていた。日本語以外に英語、スペイン語、中国語など6つの言語が用意されていた。さすがベルリン・フィルということなのか。

ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールは通常、有料で登録して見るもののようだ(月額1800円弱)。そのため元々のコンテンツとして、過去のアーカイブが豊富に揃っているようだった。他にも同じようなサービスがないか(この時期なので)ネット上を探してみた。海外について言うと見きれないくらい、いろいろな無料のコンテンツ提供が出てきた。しかも多くのところが日々、新しいコンテンツを継続して公開している。

海外コンテンツの中から、実際に見て聴いて印象的だったもの、未来性を感じたものをここで紹介したい。現在わたしたち(そして世界中)が被っている非常に困難な時期に、このような「夢のような出来事」が起きて、またとない体験ができることを、そして未知の世界を知る機会を得たことを心から嬉しく思う。辛い状況にあっても、新しいことが学べるのは心理的に大きな救いになるし、きっとこれは何らかの形で未来につながっていくと思う。視聴者、提供者の双方にとって。

日本のアーティスト個人やオーケストラやホールなどの機関においても、このようなアクションはあったが、いくつか見た感じでは、ムービーの意図や質などの点で、(個人的には)印象深いコンテンツとは感じられなかった。プロダクションのアイディアや技術の問題と、こういうビデオ作品を作り慣れていないことが原因かもしれない。ただ今の状況の中で、行動を起こしたことに対しては、おおいに称賛したい。まずはやらなくては何も起こらないと思うから。

以下、3月中旬から4月にかけて視聴した三つのコンテンツを中心に書いていく。

バイエルン州立歌劇場のオペラ『ユディト』
正直いってオペラにはうとい。まずオペラを通して見たことがない、劇場でもネットでも。関心もさほどなかった。しかしこの『ユディト』という作品は、ふつうイメージする昔風のオペラとはかなり違うようで、興味を惹かれた。ひょっとしたら、オペラの世界は近年、大きな変化をとげているのだろうか? *タイトル上と下の写真は『ユディト』より

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