メンフクロウ

絵本のコトバは、何語?

いま制作中の絵本『フラミンゴのあしはなぜ赤い』は、日本語と英語が混ざっています。たとえばこんな風です。

フラミンゴ:ぶとうかいに着ていくふくがないんです。
We have no costumes for the ball.
メンフクロウ:よろこんでおかししましょう。
Will you wait just a moment?

フラミンゴとメンフクロウの会話なんですけれど、必ずしも、日英が対応しているわけではありません。片一方だけ読んでもいいし、両方読んでもいいように書いています。

なぜ英語が日本語に混ざっているかについては、あとで書きます。少し長くなるので。それとは別に、絵本における「コトバ」って何でしょう。絵本は絵が中心の本だから、絵自体がコトバとも言えます。音楽にコトバがあるように、絵にもコトバがある、つまり視覚的な言語ですね。

ところで『なずずこのっぺ?』という絵本があります。カナダのイラストレーターの絵本で、「訳」を日本語詩人のアーサー・ビナードさんがやっています。使われている言葉は、昆虫語。「なずずこのっぺ」というのは、原語では「Du Lz Tak」です。最初のページで、蝶々が「なずずこのっぺ?」と聞きます。するともう1匹の蝶々が「わっぱど がららん。」と答えます。これが日本語化された昆虫語の訳なんですね。

この調子で絵本は進み、終わります。いわゆる英語も日本語も出てきません。昆虫語のみ、それと絵です。こんな表現も絵本では可能なんだな、と気づきました。

さてなぜ『フラミンゴのあしはなぜ赤い』が日英の言葉が混ざっているかです。なるべく簡単に書きます。

前回のノートで書いたように、この絵本はアマゾンのプリントオンデマンドの仕組を使ってつくります。その仕組が去年、(アメリカのアマゾンで)変わりました。これまで日本語の本も印刷・販売できていたものが、システム変更によって日本語の本の受け付けがなくなりました。

葉っぱの坑夫のオンデマンド本は、日本とアメリカの両方のアマゾンで制作、登録しています。その理由は、日本のアマゾンでは、版元や著者も普通の購入者と同じように、定価でしか本が手に入らないからです。アメリカのアマゾンでは仕組が少し違い、版元は印刷実費に近い料金で本を買うことができます。著者や版元がそれを購入して、自分でも販売ができるようになっています。アマゾン以外の場所でも本を売りたかったので、アメリカのアマゾンをこれまで併用してきました。それが日本語を受け付けないことになって、今後の本も、過去の本も、日本語のみの本は制作、販売が不可能になりました。

葉っぱの坑夫の過去の本で、いくつかの本はいまも生きています。それらの本は、日本語と同時に英語も一部使われています。どの程度という英語の量の基準はわからないものの、英語が入っているという点で受け入れ可能になっているのだと思います。葉っぱの坑夫のバイリンガルの本は、アメリカだけでなく、イギリスやドイツでも現地で印刷・販売されています。

というわけで『フラミンゴのあしはなぜ赤い』も、できればアマゾンの外(リアル書店など)でも買ってもらえたらいいな、と思ったのが、日英の言語を混ぜることにした最初の理由です。

でもそれだけではなく、絵本のコトバが「日本語限定」である必要ももしかしたらないのでは、、、と考えるようになりました。2020年から小学校で英語の授業が必須になるから、ではありません。確かに、その影響で英語絵本はいまたくさん出版されていますけれど。

『フラミンゴのあしはなぜ赤い』が書かれた元の言語は、スペイン語です。日本語への翻訳は、アーサー・リヴィングストーンという人が英語に訳したものをベースにしています。とても良い翻訳です。日本語に訳した言葉と、英語の言葉が絵本の中で同居していても、面白いかもしれない。テキストが立体的にならないかな、という風に思いました。これが日本語と英語を混ぜることにした理由です。







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2000年4月からウェブ上でさまざまなコンテンツを公開してきました。海外文学や音楽家インタビューの翻訳もあれば、写真家の世界紀行、ゾウやイルカのストリーなどいろいろです。またコンテンツの中から紙の本や電子書籍も作っています。
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