ゆきのはっぱ

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推しの未発表小説を本にした話

誰もやらないしやるにしても難しそうな気がしたので自分で作ったという話。 石川啄木の生前未発表短編小説作品。タイトルを『二筋の血』という。 詳細は省くが、すっかりこの作品と付き合うことにハマってしまった己は、諸事情あり、手元に常に置いて開くことが出来る形態に飢えていた。 人間誰しも好きなフレーズを手元に置きたくなる瞬間があるだろう、多分。小説単位でそれをやろうと考えると、現物の本を持ち歩くか、電子書籍かの二択になる。自分がハマりこんだこの小説は、幸いにも『青空文庫』に入って

    • ない、たい、ばかり

      とある短編小説がある。ひとの書いた作品だ。 昔昔に書かれて、雑誌などには掲載されず、随分あとになってから同作者の他の作品と一緒にまとめられて本になった。 私はこれの知名度を上げたい。 なぜ? なぜだか知らない。 正直自分でも突き詰めて考えるとよく分からなくなる。 だが一種の思い込みを頭ごなしに信じ続ける者の推進力はすごいだろう。 私も結局は己に推進力が欲しいのかもしれない。 打ち込める何かを欲しているだけなのかもしれない。 そうだとしても、この小説には関係ない。 結果的

      • 血に目が眩んで

         私は大学図書館を、足早に彷徨っていた。  時は大学三年。ゼミで研究発表をしなくてはならなかった。確かその年度で二度目の発表だったから、季節は夏の終わりから秋頃にかけてのことだったか。  周囲は皆文学に親しみ、好きな小説や作家があり、モチーフがあった。私だけだ、一から何もかもやろうとしていたのは。「この発表で決めた作品で、おそらく卒業論文を書くことになると思いますから、よく考えて決めてください。」──そんな教授の言葉に怯えて、一から歩き直し始めようとした、愚か者は。  後先

        • 読書ノート 石川啄木『葬列』

          石川啄木の小説作品『葬列』を読み終わったメモ。 忘れそうなので先に抽象感想を述べるが、個人的には割と衝撃を受けた。主人公と同じ体験をしたような、そんな心地がする。読後感がじんわりと悪い。あぁ、とこぼれるのは重めのため息。 (本は講談社文芸文庫『雲は天才である』2017年6月9日発行のものより。まろみを感じる表紙の手触りとグラデーション、金で刻まれた題字が好き) 何故読み始めたのか この部分は読書ノートには不要だが、備忘録で書く。 文劇7を見たのが直接の影響だった。 文劇

        推しの未発表小説を本にした話

          『鳩舎』に立ち寄る日々。

          はじめに。 これが初投稿。 正直noteに何かを投稿するつもりは無かったが、折角アカウントを得たのならばという気も一応あった。 とはいえ自分は、新しいノートを手に入れたら1ページ目の書き出し方に何日でも何週間でも躊躇い使わずに積む人間である。これは電子ツールでも同じことだ。最初のいいねには一瞬の迷いも無いが、最初の投稿には題材含めて無数の躊躇いがあった。 もちろん読み専アカウントも無数にあろう。そのひとつになるのが安穏である。誰も咎めないし投稿は必須では無い、云々かんぬん。そ

          『鳩舎』に立ち寄る日々。