建築の設計力5~答えを作る力2~

ここでは、坂牛さんのプロジェクトを過去から4つの時期に分けてみる。そして、この本で紹介したとおり、「課題をどうやってみつけたか?」「課題をどうやって解いたか?」などを当てはめてみる。
1. 窓を作る
窓は建築を構成する上で、付加的要素と捉えられがちだ。しかし、窓を含めた開口部は建物の内外をつなぎ止める機能を担うものだ。開閉性を大きく左右する要素と言ってもいい。
 例えば、「連窓の窓」では東京23区に位置し、南北に隣家が迫る土地だ。プライバシーを確保しつつ、どう窓を開けるかが課題となった。その答えとして1Fの窓を小さくしプライバシーを確保しやすい2Fに大きな窓を設けた。そして、その窓を室内にまで持ってくるということだ。


2. フレームを作る
 フレームとは、ガラスにはまっていない内外部の三方枠、四方枠、あるいは内部のガラス窓など窓の集合を包含するさらに、多くのエレメントを取り組んだ建築部品の総称のコトだ。簡単にいうと、窓を拡張し上部なども窓になった、といえるだろう。窓を拡張させることで開放性をより強化したと感じる時期だと思う。


3. リフレームする
 2015年に学生とともに「都市のシークレット・スペース」というタイトルでWSを行った。そこで、このシークレット・スペースには共通した特徴があった。それは、周囲の文脈から切断されていることであった。それゆえに周囲と異なる特別な場所になっているのである。これを建築に落とし込んでみたいと考えた。
 そこで、これまでの重視していたフレーム概念に加えリフレームという概念を定義した。このリフレームにはいくつかの意味がある。それは室内にデザインしたフレームを再度「協調」する。そのため、「色・プロポーション・形状」を特異なものとする操作をする。要は“連続性を止めて不連続性を作ろうと考えた”

4. 流れを作る
 ここまでの建築の変化をもう一度振り返ろう。最初の窓は何かと何かをつなぎ止めるものであり、人、視線、風、光を取り込む物だ。これを多方面に拡張したのが、フレームだ。そして、この窓やフレームの物理的なあり方に興味がでた。そこで、リフレームというものができた。しかし、この物理的なあり方よりもそこを通り抜ける人、視線、光、風そのものの性状に興味が移動した。そこで流れという概念にいたったのだ。

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