建築の設計力4~答えを作る力1~

 建築の設は課題を見つけるまでは極めて論理的に進行する。しかし、その後は設計が進めば進むほど感覚的になっていく。そこで、答えをつくる基礎としてまず概念を物質化(実際の建物として形に)するための移行において必要な思考を説明していく。
1.3つの軸
 今回、建築を物質化するにあたって、必然的に考える項目として“質量性”“形式性”“関係性”の3つの軸を設定した。これは第1章理念を紡ぐ力で説明した物と間に質量的側面、形式的側面、関係性の側面があることを指している。この関係性を1つずつ説明していく。
2.質量性
 質量性は建築において素材(建築材料)を表す項目だ。その質量性には3つに分解できる。
①肌理(きめ):物の表面の粗度をさす。ガラスなら表面はツルツルであるが、レンガならざらざらだ。
②色:建築おいて色で重要なのは有彩色か無彩色かということだと思う。日本ではほとんど無彩色だが、昨今欧米では大胆に有彩色を使うケースもある
③透明性:この透明性はガラスの影響が大きい。そこでガラスの透明性が建築の特性を大きく左右している。
3.形式性
①形状:建築において形のデフォルメというのはある。それは断面的にも平面的にも直角に交わる直線で構成されるもの(長方形、直方体)だ。ではそのデフォルメを崩すには斜めや曲線というものがある。そのどちらかによって大きく変わる
②大きさ:サイズによってみる人に直接的な大きな影響を与える。大きいものには崇高という感覚を芽生えさせる。一方、小ささも影響する。茶室などはいい例だ。建築に小ささを加えることによって特殊な性能と雰囲気を与える。
4.関係性
この関係性には4つの項目がある。
① 平坦・階層性:それらの並ぶ方として階層性がない場合(平坦)かある場合(階層)の関係性がある。秩序とも言い換えられる。
 例えば、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの初期の住宅には場所ごとに性格が出ている。ここには階層性がある。一方、後半になると場所ごとの固有性を持つことはなくなる。平坦な関係性なのだ
② 部分・全体性:これは物を作る上で部分と全体の問題がある。1つの方法は全体があって、その中に部分をはめ込んでいくもの。これに対し、部分の集積として全体をつくる方法がある。
③ 包容・排他性:これは、建築とそこに入る家具などの関係性のことだ。建築が家具などの部品を限定する建築(排他的)と、どの家具デザインも受け入れる建築(包容的)がある。
④ 協調・独立性:これは周辺環境との間に発生する関係性である。周囲の環境と密接な関係性をもって存在する民家のような建築(協調)がある。他律的な建築ともいえる。一方、そこの場所性にそぐわない建築(独立)もある。この2つは周囲との建築が大きく異なる。
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