建物を劇的に変える”仮設建築”とは...

古いシステムを壊す仮設建築
 この本はこのような冒頭から始まる。“僕の理想の風景の1つに至りの映画の名作「ニュー・シネマ・パラダイス」の冒頭シーンがある。夏の夕刻、広場にスクリーンを張って、椅子を並べただけの屋外に街の人々がワイワイと集まり、みんなが映画を見ている。仮説空間が醸し出すはなやかさやせつなさも加わった、美しいシーンだ。”
 このあと、その光景は東日本大震災後の宮城県石巻で出会えたと書いてあった。私たちの暮らすすぐ近くの公園でこのような光景が見られないのは、管理的な問題が大きく影響していると思った。
 私は、このような形骸化してしまったシステムを壊すのに仮設建築がいい影響を与えるとこの本を読んで思った。その中には、東京オリンピックなどで課題として浮上した「仕掛ける側と受け入れる側の二分化」も解決できると思った。
 その理由として仮説建築にすることで、費用が低く押さえられるため使用者側が主体となって都市計画に参加しやすくなるからだ。また、可変的な仮設建築は、暫定的な利用がしやすく、実験的に行うことに適している。

この本では、5つのスケールで仮設建築をみる。そして、私が気に入ったモノを1つずつのせていく。


1.FURNITURE~Park(ing)Day/Parklet~

ファニチャーは家具や屋台など自分で持ち運べるものだ。並べるだけで、その空間に劇的な変化を起こせる。最も、テンポラリーアーキテクチャーだ。
 その中で、私がすごいと思ったのが「駐車場を一時的に人の居場所にする(Park(ing)Day)やこれをより永続的なスタイルに変えたもの(Parklet)だ」ウォーカブルシティなど、歩くことが注目されている。情報革命によってスケールが小さくてもできることが増えた。その影響で徒歩スケールでできることが増えると思う。そんな背景をもとにこのファニチャーを考察すると、車と徒歩の結節点になる重要な居場所になると思った。

2.Mobile~車の駅~

 モバイルは車輪がついたもの。建物には複雑な手続きが必要だが、車両なら不要。フットワーク軽くビジネスを展開できる。
 そのモバイルで私は妄想アイデアとして紹介していた「車の駅」が今後必要になっていくと思った。都市の使われていない駐車場を車が集まれる場所にすることで、車で生活する人が増えたときに、圧倒的な需要ができると思った。しかし、私はもっと可能性が大きいと思う。近未来、住居の一部が移動する時代がくる。そのとき、この駐車場が移動先のドッキング拠点にもありうると思った。
 この後にも、PARASITE、橋などの公共建築に寄り添う形で仮設建築をつくるものもあれば、POP UP、なにかの目的のために期間限定でつくる建物などもあった。このポップアップで紹介されていたLIVE+RALLY PARKは期間の後まで考えられた素晴らしいアイデアだと思った。最後にはCITY、一定のエリアを仮設建築で構成するというものだ。いずれ不動産がなくなり全て動産だけの世の中になりそうぐらい夢のあるないようだと思った。

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