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詩29 一ト瀬の内に……/日の差す時の(心の)拠り所に居合はせた…

一ト瀬の内に……

そこにこのやうな
心の
愛ほしく
愛ほしひと言ふ
それが小さひ
そして風に
強ひその野生らしひ
言葉の細波が在つた
たふれて また たふれやうと
戦き あるひは立ち
立つてもただ
寂しく その寂しさと言ふ
みづみづしさをもつて
愛ほしひ在り方で野に
日々を生きる
こゑの風になびく様子と
それに似た
けふの花と草が在つた 在る程在つた

/小倉信夫


日の差す時の(心の)拠り所に居合はせた…

日のあたたかさの
目に白く
よはよはしひ程
けふを
その寂しさより
暮れやうとあはひ
冬の今
日に時めく此の所へ
日のさしてきてゐる
光より四方へは
鳥のこゑのとよめき
花はかそかに咲き
その花と鳥の静かな
無窮のこゑを
日はけふへ霞ませてある
冬らしく
寒ければ
鮮やかと言ふよりなひ色と香りを煙らせてゐる

/小倉信夫

#礫



2021年12月17日に、詩人の和合亮一さんが Twitter で行った企画、詩の礫「Ladder」に参加しました。そこに投稿した詩です。

 ※ Ladder =梯子
 ※新型コロナウイルス感染症に惹起された現況を「有事」と考えて創作物をツイートする企画です。
 ※題を付しました。

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