無痛分娩を振り返る

7月14日午前3時

土砂降りの雨の中、生理痛のような痛みで目が覚めた。痛みの間隔を測ること1時間。陣痛らしい。5分間隔のため病院へ連絡。その後1時間様子を見たが変化がないので母親を起こし、6時頃に病院へ向かった。

午前6時、入院

病院に到着し、すぐに内診したところ、子宮口が3センチくらい開いているとのことでそのまま入院となった。 お腹にベルトを巻き、赤ちゃんの心拍数と陣痛の痛みを数値化したものを見る。40くらいまで来ると、おー痛いぞ~!という感覚。上がる数値にあわせて痛みを逃す姿勢をとるようにした。

 7時台、陣痛が4分間隔と短くなり、痛みも強くなってきた。ここで吐き気も参加。なんとなく便意に近い感覚もある。 9時頃、ようやく診察に呼ばれる。階段を下りて診察室へ。痛みと吐き気で汗が止まらなかった。

内診すると、子宮口5センチ。「どうする?無痛にする?」と聞かれ、無痛でお願いします、と即答。 そこから今度は分娩台へ。麻酔注入のための装着処置がスタートしたが、これが難しいし痛いし苦しい。陣痛の痛みと吐き気に耐えながら、背骨の位置を調整するような姿勢をとり(これがめっちゃ難しい)、針でグリグリされるのをじっと動かず耐える。全身汗びっしょりで不快感も加わる。濡れネズミ状態、心が折れそうになる。

何度か失敗して、先生からこれでラスト、できなかったら無痛は諦めようね!と言われ、根性で不動を決め込んだ。「私は山。動かない山…」そう念じ、ようやく装着成功。 そこから促進剤を使って子宮口が7センチに開くまで耐え、いよいよ麻酔を注入。背中に冷たい感覚が入った後、一気に陣痛が緩和された。とはいえ陣痛は痛い。和牛のゾンビネタのような声を出しながら、深呼吸を自分に言い聞かせた。

いよいよ出産

11時、子宮口が全開に。とたんにいきみたい感覚に襲われる。これがいきみたい、か!「いきみたいです~」とゾンビ声の合間に訴えた。助産師さんから「いきんでいいよ」と言われていきみ始める。赤ちゃんが下に降りている感覚が分かるが、これがめちゃめちゃ痛い。苦しいからいきみたい、でもいきんだらめっちゃ痛い…!裂けそう!でも、出してあげないと赤ちゃんは苦しいままだ…。モニターに映る赤ちゃんの心拍数を見てはふう、と息を吐き、毎回「いきみます!」と宣言していきんだ。

赤ちゃんの頭が産道を出たり入ったりを繰り返し、なかなか出てきてくれない。助産師さんがどのくらい見えているか実況してくれた。

いきみを何度か繰り返すと、「最後のひとふんばり!頭が出てきたよ!触ってみて!」と助産師に手をひかれる。そこには髪の毛がはえた生ぬるい餅が!

「うわあああ柔らかい~!!」と騒ぎながら、「いきみます!」と吟じますばりに宣言し、もう三回くらいいきむ。肩が出て、そこからはスポーン、と一気に産まれてきてくれた。午前11時53分。ふにゃあ~という声が聞こえた。

拍手で迎えられ、無事に生まれた我が子

いきみ始めて1時間での出産。足はがくがくだし、深呼吸のし過ぎで酸欠で手足がじんわりしていたけど、終わってみると体力はわりと残っていたと思う。 産まれてすぐ、まだ胎脂がついてる我が子を少しだけ抱かせてもらった。おなかの中にずっとこの子がいたのか、本当に人間が出てきた…となんとも不思議な気分だった。

こんにちは、お疲れさま、おめでとう、ありがとう、と、たくさん声をかけた。

ふう…と休んでいる間に胎盤が出され、へその緒が切られ、会陰を縫われ(麻酔は効いてないが全然痛くなかった)、と処置をしてもらい、私の出産は無事に終わった。

里帰り先に夫が来てくれる日程にはすでに退院できていたため、滞在中は親子3人の時間を過ごすこともできた。

生後3週間のいま、我が子はおなか一杯の状態で腕の中で眠っている。

生まれたての頃よりも幾分か重くなり、足や腕もむちむちしてきた。相変わらず産んだ実感が湧かないが、何とも言えない愛おしさがこみあげてくる。


お産を振り返ってみて、やはり一番大変だったのは無痛の麻酔カテーテルを装着するときだったように思う。陣痛に耐えながら割と窮屈な姿勢を取らなければいけないし、背中に大きめの針を刺されるのでそれなりの覚悟が必要だ。

しかし、陣痛が軽減されたことにより、産後の回復は非常に早く、体が楽だった。当日のおやつもルンルンで食べたし、夜には普通に歩けるようになっていたのだ。無痛分娩を選択してよかった、と心から思えた。

またお産の予定があるときは無痛分娩の選択肢を持っておきたいと思う。

その際には出産当日までに、ぜひカテーテル装着の姿勢を練習しておきたい。

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