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母の命日は結婚記念日の前日

母が自死したその日は、
父と母の結婚記念日の前日でした。


結婚38年。
付き合った期間を含めれば40年以上。

それだけの期間連れ添ったパートナーを
突然亡くした父の心情は、
それはもう、
娘の私にさえ計り知れないものです。


亡くなる前日には、
「明後日は結婚記念日だから
ケーキでも買って来よう」
と、私と夫でも話していました。


今年もいつもと変わらず
お祝いするつもりだった。

こうしてお互いの節目を
顔を合わせて祝えることは、
同居している醍醐味とすら思っていました。


それにも関わらず…

母は、
結婚記念日の前には
逝こうと思っていたのかもしれません。

泊まりがけで出かけた先のホテルで
自死したのですが、

泊まりに出かける予定について、
一度体調を崩して延期になり、
行き先の友人と合わせる予定もあり、
その日(結婚記念日)までには
絶対行かなきゃ…

と言っていたんです。


きっと、

その日を過ぎたら…
家族に祝ってもらってしまったら…
父との思い出を増やしてしまったら…

決心が揺らぐかもしれない、

そんなことを思っていたのかもしれません。

本当のところは
母にしか分からないけれど。


父にとってみれば、
どん底に突き落とされた直後に迎えた
結婚記念日に、
葬儀場の安置室で母と対面することに
なるなんて、
それはもう辛いものだったでしょう。

私自身もその日に初めて
母の亡骸と対面したので、
忘れられない日となりました。


38年前、
両親が結婚式を挙げたその日を、
私は物心ついてから毎年お祝いしていました。

幼い頃は手紙を書き、
30周年にはケーキやワインを。
3人で食事をしたことも何度かありましたが、
私が社会人になり、
高層ビル上階の景色の良いお店に
2人を連れて行ったことは、
今となっては貴重な思い出です。

40周年は何をしよう…
と思っていたけれど、

これからもきっと、
2人の出会いに想いを馳せることは
変わらないと思います。

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