Photo by __a_27m 選歌 令和6年8月号 2 短歌の会 覇王樹|短歌会 2024年7月15日 17:22 白々とかすめる町の窓の辺に木の芽春雨おとなく降れり清水素子里山に膨らむ樹林のごとくなる思いを秘めて生きてゆきたし田中春代鴨が去り方丈のやうな池の面のこれからの夏ボクもこれから橋本俊明江戸の人となりてひと日を歩みたり芭蕉の弟子とわれもなりたり山北悦子僅かずつ遅れ気味なる卓上の時刻合わせは程好い触り吉田和代草津本陣遠来の客うれしかり軒に燕の声のひびける渡辺茂子タイマーを使わず測る私の三分間の硬いラーメン渡邊富紀子正しさの返り血浴びて振り向けば滑稽だ夜叉は私であった伊雪佑就職時「新人類」と揶揄されし吾は六十路も進化の途上鎌田国寿百鳥の湖辺に遊ぶ朝ぼらけ鏡の水を過ぎる航跡木下順造ザビエルの説教を聞く小鳥たちその絵の中に燕もおりぬ高田好祖父母居て伯母と従兄と我が家族この地の上で笑った昭和高橋美香子ご夫君の表札今も掛かれどもその後を知らず思ひのめぐる井手彩朕子茣蓙を敷きあぐらしながら懸命に杉菜を毟る朝の闘ひ高貝次郎熊除けの鈴鳴らし入る蕨山姿見えざる物を恐るる田口耕生誰ひとり助けられずに犇々と庭侵し来る篠竹を刈る高田香澄午後の日を透かし輝く青かえで見上げるわれの眼休ます山口美加代久々の心ゆらゆらこの想い今宵の月に聞いてもらおう松下睦子串刺しの鰯の乾物こんなにもデリシャスかわたくしのため渡辺ちとせわが家より移植の紫蘭かずを増し私はここよと花芽のぞかす青山良子犇めきて裏庭に育つそれぞれの花に庭木に亡き友のこゑ斎藤叡子杉の木に咲き昇りゐし藤の花散りて寂しきわが村に入る友成節子日向より部屋に入れば翳り濃く五月の闇のひそみいるらし髙橋律子眼をしとぢ影をし追へどやみぬちに白き背びらは形とどめず石谷流花グリーンの星も今では灰色で噴水周りが僅かに湿る一色春次郎達筆の文字は読めぬがはっきりと「はせを」と分かる芭蕉の手紙田中章三井寺の二百余段に息切らす花を見たさの力があった髙間照子会うたびに言い争いしが百歳となりたる父に言う言葉なく玉尾サツ子男孫はマクドナルドがお気に入り腹を満たして塾へ直行成田ヱツ子あの頃の優しさ胸に戻るよう今宵は雲間に星を探そう三上眞知子朗読を聞いてみる 短歌の会 覇王樹|公式サイト 短歌の会 覇王樹 | 公式サイト 短歌の会 覇王樹は、今年で103周年を迎える短歌結社です。 創設以来「清新自由」をモットーとし、口語短歌や伝統的短歌を各 www.haoujusha.com 短歌の会 覇王樹|公式X ダウンロード copy #短歌 #短歌会 #覇王樹 #覇王樹社 2