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八首抄 令和5年11月号

永田 賢之助 選


草のに風おくりつつ黒揚羽身を抜くように影をおとしぬ
高田 好

朝刊のテレビ欄に目を通し今日一日の予定を策す
伊関 正太郎

八月の六日に今年も鳴き初むるこほろぎは知るや原爆の日を
佐田 公子

核兵器共有のニュース乱れ飛ぶ今をいきつつ唖然 忽然
高貝 次郎

太陽も怒り心頭この暑さ北半球を焼き尽くすがに
西原 寿美子

青森の短き夏を盛り上げる天狗ネブタの睨み豪快
田口 耕生

橋越えて深川の神輿渡り来るビル街に舞う金の鳳凰
清水 素子

夏雲の下に送れる友はまだバックミラーの中で手を振る
髙橋 律子



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