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八首抄 令和6年9月号

井手彩朕子選


遠雷とわれの鼓動が響きあう記憶の底のひとつを揺らし

児玉南海子


それぞれの今日に向かえる戦士らを改札ギュッと集めて放つ

三上眞知子


わが背丈越えて繁れるプチトマトどうにもかうにも反抗期めく

岩本ちずる


ぽっとんとポストに落とし帰り道助詞の間違い一つに気づく

藤峰タケ子


今ならば彼の日の夫の呟きにもっと寄り添い共に泣けたに

田中昭子


何気なくかけた言葉に「わかってる!」矢が放たれる娘の言葉

上中幾代


幾たびもピースを嵌めてはまた外す完成しない自分未来図

津上恭子


おっ母さん心配なのは分かるけどこのやりとりは今日6回めです

田尻まぐろ




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