記事一覧
選歌 令和6年6月号
長年に書きたる文字の曲がりゆく老い行くことのこれもひとつと渡辺茂子
身の痛み忘るる瞬間サイネリア、エニシダ、マグサに水呑ますとき青山良子
息子の死して貰へる勲章など要らぬウ・露の母らの悲しみいかに岩本ちずる
九割が一人参加の女性とう つるまぬ人との相席の旅小笠原朝子
この青をたどりてゆけば能登の海わがふるさとに繋がる大海児玉南海子
浮き島のごとき日本に生き継げとイタリア渡りのミモザは
八首抄 令和6年6月号
渡辺茂子選
何処へと散りゆくならむ宵の駅ひかりの中より人ながれ出づ山北悦子
日々と言ふこの薄紙の如きもの吹きちらされて又白くなる臼井良夫
独り居の早めに雨戸閉める日はつながる何かを拒むに似たり吉田和代
ヒヤシンス二株庭にむくむくと全てが動く春の兆しに伊関正太郎
約束の侮りがたし祈るごと君は綺麗に座りたりけり財前順士
畦道を歩けば吾を待ち伏せるヌスビトハギが手足を伸ばす上中幾代
風吹き
第66回 覇王樹全国大会(歌友のつどい)
〜 光る湖へようこそ 〜
(1)開催日
令和6年10月6日 (日)
(2)場所
アヤハレークサイドホテル
✽ 最寄り駅 JR大津駅
✽ 送迎バス
JR大津駅 ➡ ホテル
午前10:40|午前11:00
✽ ホテルのホームページ ⤵
(3)日程
第1部(A)
① 11時00分~受付開始
② 11時30分~12時00分/昼食
選歌 令和6年5月号
まっかな爪消して行くなり雨の中今日の会議は元職の会松下睦子
寒き夜にサクラの精は生れしとふ雪降る今宵しづかに待ちぬ岩本ちずる
程々の疲れセーター身に纏ひ朝のコンビニ午後のコンビニ臼井良夫
恵方から点火されたる左義長の弾ける音は山登りゆく浦山増二
淋しさを重ね重ねて三月の空は未だに白雪散らす児玉南海子
驚きているのは鹿も同じらしふいの出会いに固まっている高田好
白子産一番海苔のあざあざし
八首抄 令和6年5月号
橋本俊明選
雪解けの進む光の畦渡る乾ける土の足に和らぐ田口耕生
介護中ありがとう言う夫なれば私の中にそよ風が吹く山口みさ子
八十九の老女を手本と医師言へりそれはわたしか笑ふほかなし渡辺茂子
まるまりて行き場なくしし鳥のごとただ黙しいる如月の今日北岡礼子
願えども世界平和は手にできぬ水に映れる月の如くに高橋美香子
なさけ深ききみが面影抱きつつ博多男子は東へ下れり石谷流花
冬期なる土手の
選歌 令和6年3月号
山茶花の白と紅葉の交差して庭しづかなりひなたのかをる(西尾 繁子)車窓より遠く紅富士の瞬時見え「うおっ」と心の雄叫びを聞く(三上 眞知子)いてふ並木の黄金なれる道をゆく前世わたしはインカの女王(山北 悦子)わたくしの原点として拾ひたり産土の杜に無患子ひとつ(渡辺 茂子)人影を透かして見ゆる冬の海剝離してゆく思ひ出ばかり(臼井 良夫)葉を落とすごとく蔵書を手放すは遠き昔の乱読少女(高田 香澄)三日月
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臼井良夫選
白壁の反射眩しく恐縮をしてゐる様な一日終はる(広瀬 美智子)
点滴を終えたスタンドぽつねんと手持ちぶさたに病室にあり(青山 良子)
晩年の念いこころに刻みつつ令和五年も暮れゆかんとす(佐藤 愛子)
前立腺癌と闘ひをりながら一合を呑む晩酌の味(高貝 次郎)
暗闇に蛍光灯の紐探すこの世のわが手 犍陀多のごと(佐田 公子)
怒る人寡黙なる人認知症の相席にして和めるホーム