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Venus

子どもを学校と保育園に迎えに行った帰り道、自転車に乗っていると、暗い雲の隙間にやたら明るい星が見えた。

長女が「あれ、金星?」と尋ねてくる。以前、金星や木星を教えてからずいぶん経つのに、よく覚えてんなとこっちが驚いてしまった。
明るさからして金星だろうと思うものの、雲が多くて他に星が見えないから断定はできない。
ごまかす意味も込めて「あれが金星かどうか断定はできひんねんけど、金星は明星ともいうねんで」と言ってみた。
夕方に見えるのが宵の明星、朝方に見えるのが明けの明星。
「明けって夜明けに似てるから、朝なの?」と的確に返されてさらに驚く。わたしはたぶん、6歳児の思考力と記憶力に対する認識をもう少し改めた方が良さそうだ。

長女は自転車の後部座席に乗っているので、その姿は見えない。声だけ、言葉だけを交わした秋の夕方。
金星についての知識と記憶を、長女はどんなふうに受け取ったのだろうか。

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