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「近代麻雀」誌、最強戦プロアンケートについて

※トップ画像は https://kinma.takeshobo.co.jp/kindai/  より

原えりかプロの組織票?の件。

これに関して
本人を叩く人や近代麻雀を叩く人がいるみたいですが、
個人的にはどちらも何も悪いとは思いません。

「原さんはルールの範疇でやってるから、ルールを決めた近代麻雀が間違ってる」的な意見も散見されますが、特にこれに対しては強めに反論したいところです。
あ、別にそういう意見の人と喧嘩したい訳ではないです。意見はお互い自由だという前提のうえで、ただ「この視点を忘れてませんか?」という補足ですね。

その「視点」とは
「麻雀好きの皆さん、竹書房や近代麻雀がなくなったら困るでしょ?」という話です。

これまでいくつもの麻雀誌が廃刊してきたように、麻雀雑誌の維持・安定は相当な困難を伴う歴史でした。
Mリーグなどを軸とした麻雀ブームのお陰で近年こそ安定してますが、いやそれも出版全盛時と比べるとあまりに低いレベルでの安定です。
「近代麻雀」誌だけでなく竹書房、というかあらゆる出版社が、もう長いこと相当厳しい経営を強いられているのはご存知の通りでしょう。「竹書房 倒産」とかでググってみれば、少なくとも安泰の経営を続けて来たのではないことは窺い知れます。

そんな危うい土台の上で制作されている雑誌…いや現状危ういかどうかは実際には知りませんが、少なくともコンビニでも書店でも平積みしてあって誰もが知る雑誌ではないでしょう(30年ぐらい前は各誌合計で公称100万部なんて言われた時代もありましたし、「コンビニでも書店でも平積みしてある、誰もが…とまでは言わないまでも多くの人が知る雑誌」だったんですけどね)。

そんな「近代麻雀」が、ようやく明らかに大幅に売り上げを上げられそうな企画を思い付いたのが今回なのです。
まあ実際は「盛り上がりそうな最強戦絡みのコンテンツをいっぱい考えて精査した結果、そのなかでも本誌の売り上げに直結しそうなこれがまず選ばれた」という、最強戦スタートの可能性も低くなさそうですが…とにかく、常に危機を孕んでいる出版業界が、単発であっても出版物を売るこれまでにないアプローチを思い付いた訳ですよ。

このタイミングでウヒョ助先生の新連載をぶつけたのも、
もちろん最強戦ということで「観る雀」ファンに寄せてのものでしょうし、
キッカケは投票のためでも一度本誌を手に取った人には、再度買わせる自信があっての戦略でもあるでしょう。
なんせどれだけ良い雑誌でも、コンビニで立ち読みもできない、「中身を知らない人」に買わせるのは特に難しい昨今では、「理由は何であれとにかく一度買ってもらう」ことの重要度はいよいよ増しているはずです。
そう考えると、本誌を愛している・自信を持っているからこその今回の企画でしょうし、
既存のファンや連載作家さんのことも考えた、編集長の温かい采配とさえ言えるのではないでしょうか。

「問題は一人複数の投票を認めたことだ」「本当に買いたい人にも行き渡らなくなるのが酷い(そんな状況を生み出したルールに欠陥がある)」というご意見もあるようですが、

・1人1票に決めたとして、架空の名前で投票されたら確認できない
・そもそも「大量投票する人=大量購入してくれた人=雑誌を支えてくれる大切な人」なので、その厚意に配慮こそすれ否定する訳がない
・「行き渡らない」状態にしたのは、普段「近代麻雀」を買ってない「麻雀ファン」全体の責任

という3つで簡単に論破(笑)できそうです。

AKB握手会商法の是非なんかとも重なりそうですが、
「握手券を売ることで次のシングルの楽曲制作・PR・MV制作などにかけられる予算を先に決められる」という、エンタメや文化を作るうえでも極めて重要なパーツでしたよね、あれ。
アイドルの楽曲やMVが文化かどうかはまた意見が分かれそうですが、あの時代に一番お金をかけて真面目に楽曲やMVを作っていた集団の一つであったのは、紛れもない事実でしょう。

もちろん原えりかプロ本人(或いはそれを支援している人)は、
決して1位になる保証もないのに大金と多大な手間を投じて、
ルールの中で「勝負」している訳ですから、何も悪くありません。
有名プロとそれ以外の格差が極めて大きい世界なので、
地方のそこまで有名ではないプロにとっては、「勝負」できるタイミングで
「勝負」できる手法で一気に駆け上がるチャンスを掴もうとするのは、
むしろ極めて正当な「努力」だと思います。
あとついでに、ごくごく少ないサンプルでの私見に過ぎませんが、原えりかプロ、しっかりした良い麻雀打ちます。

まあそんな訳で
この件で原プロや近代麻雀を批判している人は、
気持ちは分かりますが、逆に言えばその「気持ち」しか分からないなあ、という感じです。

繰り返しますが、感じ方は人それぞれなので、「好き嫌い」もそれを表明するのも自由だと思います。
ただ「善悪」の問題にして、否定するのはちょっと待って…という話でした。

ちなみに。

得票数ではなく、投票した「人数」は誰が多いのか、
近代麻雀編集部もバカではないので、もちろん把握していることでしょう。
オトナの事情もたくさんある業界ですが、
今回の投票はそういう意味で「真の人気ランキング」の調査にもなると思うので、
今後の誌面づくりやコンテンツでのキャスティングなどに活かされていくと思います。

「1位しか意味がないので組織票に負けて悔しい」だけでなく、
2位以下でもいろんな存在感の見せ方はあると思いますし、
各プロのファンは意味がないと思わずに、ぜひ一票を投じてもらいたいと思います。
※追記:「2位~9位のプロで、来年の最強戦出場をかけた予選大会を急遽開催」ということになってましたね!まさに「近代麻雀編集部もバカではなかった」訳ですね、民意の吸い上げの意味でも、コンテンツ創出の意味でも。

以上です。

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