③求人サイトへ登録したが、まるで頓珍漢

 
　お金のことを忘れて働き、年を跨いだ。
　去年はあまりに大変な年だったとしみじみ感じる。波乱含みで前々年の年末を過ごしていたことから、嫌な予感はそもそもあったのだが、年を迎えるのに気持ちは前を向こうと必死だった。ところが開けてびっくり仕事問題が勃発。最中に父が大怪我をし、妹が病に倒れた。初秋に祖母が旅立ち、年末には愛犬が調子を崩す。
　今年は良いことしかない！希望が欲しくて、占い本を片っ端から立ち読みしたら、良いことしか書いていなかった。そういやその前の年は、ろくなことしか書いていないものばかりだったので、嫌になって読むのをやめたのだ。そして本当にろくな年にならなかった。　　
　今年はきっと良くなる。私は４月から、お金も遣り甲斐も手に入れて、今より生き生きと働くのだ。
　年度終了まで３ヶ月を切ったが、相変わらず目ぼしい求人が見付からなかった。ハローワークだけでは埒が明かない気がして、夏のアルバイトを探す頃、求職サイトに登録していた。その後、登録サイトを増やし、今は計５件ほどを活用している。しかし相変わらず目を引く仕事が無い。年齢的にも、最後の転職にしたいと考えている為、最低限、自分が譲れないことだけは固持しようと思っていた。仕事内容は、勿論経験やスキルが活きれば最高であったが、別の職種で目標が達成できるなら抵抗はなかった。人がひとり、ちゃんと生きて行くために必要なお金と休みをもらえることが大前提。しかしその大前提をクリアする仕事自体がないのだ。
　妥協して就職し、結局続けていられなかったことが何度かあった。納得できないと続かない。既に痛いほど学習しているので、わざわざ同じ過ちを繰り返すような選択をするのは、間違っている。
　ところが求職サイトから送られてくるメールは、まるで頓珍漢だった。〝企業からのオファー〟と称して届くメールも同じ。希望条件などまるで無視されており、経験に注目されたものですらないことが殆ど。そもそも学歴などの採用条件すらマッチしておらず、応募自体出来ないものまで送られてくる。こちらは自分に合った仕事を是が非でも見つけたいので一通り目を通すのだが、通勤圏外の全国各地にまで情報が及んでいる。登録情報や希望条件を間違えたのかとプロフィールを何度も確認するが、そこは正しかったりする。ところによっては人手不足とも言われているので、雇用する側は、スキルがあろうがなかろうが、誰でも良いのかも知れなかった。
　毎日欠かさず新着情報を確認するが、探し方がそもそも間違っているのかと、別目線で新たに検索を掛けたりするので、求人検索だけで何時間もパソコンの前に座っていなければならない。結局それらしい収穫も無いまま、草臥れ果てる日々が続いた。